偶々また、個人が以前書いた記事が目に留まり、左様本日は指揮者の朝比奈隆先生のご命日だったことを気付かされました。

再三朝比奈先生のことはこちらで書かせてもらっておりますが、やはり今日は気付かされたこともあり最近幾つか聞いた演奏もございますので改めて取り上げたいと存じます。



昨日90歳のバースデーコンサートのブルックナーの5番を聞いたばかりでした。







ユーチューブではなく、CDで聞きましたが、実に充実した5番で、大阪フィルもよくなっていると感心させられます。

この時朝比奈先生が90歳とは信じられないようなエネルギーがありとても音楽に元気があります。



少し前にYahooオークションで珍しい、ブルックナーの4番のアートン盤、通常盤とは違ってサントリーホールの演奏をまるまる収録されたCDです、が出品されており運良く安価で落札できました。


管楽器、金管楽器のヒヤリは時として散見されます(特に第1楽章)が、泰然自若、深い暖かい音楽が耳に心地よく特に第2楽章の語り口が朝比奈先生らしい深遠さを感じます。

第1楽章、フィナーレの力強さもこれまた武骨でバチン! と決まる瞬間があり、おお! と感心する場面があり久方振りに4番を堪能しました。


さらに12月になって個人としては珍しくベートーヴェンの第9番を聞きました。

ユーチューブで朝比奈先生の映像で楽しみました。







99年と生涯最後になった2000年の9番。朝比奈先生は9番を250回ちかく指揮されたそうでこの記録はだんとつではないでしょうか。フルトヴェングラーはどうでしょう。彼もたくさん指揮されてはいると思います。


どちらが良いかという視点で聞いておりませんが、朝比奈先生らしい、音色の柔らかさと暖かさを個人は感じます。

余談ですが、第9番を聞いたのは来年2020年はベートーヴェン生誕250年のアニバーサリーイヤーですから再考したいこともあり拝見しました。





こちらは大変珍しく興味深く拝見した黒柳徹子さんの番組にご出演された折の映像です。こちらは紹介しようと思っておりましたが後伸ばしにして暫く無視したままにしていました。

《カルメン》、《狩のポルカ》など珍しいレパートリーを披露されて、黒柳徹子さんとの貴重なお話などもあり楽しい映像でした。90年代にはない快活さが見て取れます。

この番組の放送された前年に黒柳さんのご父君、守綱氏がご逝去されたそうで最後の《シェヘラザード》のヴァイオリンのソロでは黒柳さんが思わず涙されているかのような場面もございました。



朝比奈先生のCDはある程度聞いて参りましたが、それでも度々深みを味わいたく、いつも意識してそして偲んでおります。

愚直、武骨で力強くありながら、柔らかく暖かい音の在りし日の大阪フィルを耳にしてああ、朝比奈節だと嬉しくなる瞬間があります。

アンサンブルの問題、あるいは朝比奈先生を素人と揶揄される方もおられますが、個人はご立派な指揮者だったと追慕しております。

これからもご縁が続いて参りますから大切に想います。