写真家の木之下晃さんは、もうお亡くなりになっていたのですね(2015年に病没されていました……)。

知りませんでした。演奏家の素敵なお写真を見る度に、木之下さんのことに思いを馳せていました。

無料版としてスタートした『モーストリークラシック』の初期の頃(現在は有料の月刊誌)、有名な演奏家とお写真とエピソードが毎回特集として組まれていて楽しませてもらいました。

少しだけそのことも過去に触れています。




体調が芳しくないことは存じていましたが、お亡くなりになられたことは露ほども知らずにいて、今ウィキペディアで初めて知り愕然としました。

カラヤンはプライベートに入って撮影の許可まで出して、朝比奈先生も公私ともに深く関わってかわいがっていらしたそうです。


ブログでは少し前からカラヤンの個人にとっては珍しい画像があったのでこちらで改めて取り上げようと思い、木之下さんのことも少しブログで取り上げようとして調べたところ、既に故人になられたとは……。

合掌


全て画像は拝借いたしました。


カラヤンはポージング、角度などに徹底してこだわり、木之下さんに指示を出して撮影させたそうです。




朝比奈先生は、ごく自然にあるがままを撮影されたそうで細かなことは仰らなかったそうです。こちらのお写真は新日フィルとのブルックナーの3番のジャケットにも使用されています。



必ずしも良い出来だとは思いませんでした。すみません。




この時のクライバーさんはおそらく繊細なピアニッシモの指示を出している時だと思います。




お若い頃の佐渡さんと晩年のバーンスタイン。佐渡さんの指揮振りを見るにつけ、レニーの姿が浮かびます。

これまたすみませんが佐渡さんのCDは音が嫌いで、全く聞いたことがありません。一本調子の音質で深みがないような……。録り方、マイクの問題だと思います。




メニューヒンさんご夫妻。奥様が美しくてエレガンスだと思います。

かつて、強制的に聖教新聞を取らせられていた(学会員ではありません)メニューヒンさんのことがあり、そこはしっかり読みました。

来日された折に、学会の人がメニューヒンさんのマッサージを担当されたそうで「ナンミョウホウレンゲキョウ」と言葉の響きが気に入って何度もつぶやいていたという旨の記事が印象に残っています。






武満徹先生の独自の世界を垣間見るかのようなセンスのよさを感じる3枚。

篠田正浩監督がなんの映画だったか失念しましたが武満先生に音楽を依頼しようとしていた時に、電車内で人とは違った雰囲気をした青年がいて篠田さんはこの静かに佇む青年は武満先生に違いないと直感したそうです。

後日、改めて初めてお逢いした時、まさしく電車内で見たその青年だったとNHK教育の番組で仰っていたエピソードが忘れられません。1番下のお写真がその才能を感じさせるような雰囲気があるようです。



プレートルさんの熱さが伝わってきそうな1枚。
  



ジュリーニさんの崇高な精神をも感じさせる1枚。
木之下先生は近寄り難かったと述懐されていました。ダンディな指揮者だと思います。




お亡くなりになる前に来日されて音楽ファンを喜ばしたマリア・カラスさん。

レコード芸術でどなたの文が忘れましたが、歌っている時は美しい声だが普段話す声はダミ声でその差に驚いた……とありました。私生活は少しくたびれていたのかもしれません。察して余りあるようです。




音楽の素養もなく、まして家柄などがよい訳ではないので一流の演奏家に直に近づくことは皆無ですが、木之下さんが撮られた巨匠たちの豊かな表情を拝見するにつけ、素晴らしい音楽が想起されます。

今ではどなたでも気軽に写メができる時代になり、しかも高画質でいつでもどこでもという認識がありますが、木之下さんのお写真はご本人も含めて今は亡き巨匠たちの貴重なお姿が活き活きとしたお姿を留めていて、何度拝見しても嗚呼、とCDとは別にその人そのものも懐古します。同時に木之下さんも大変よい仕事を遺されたと。



撮影というお仕事を超越されて、教養の深さ、お人柄の良さを感じる方でした。私を深くクラシック音楽に誘ってくださった方の1人でもあると今さらながら偲びました。