ベートーヴェンの第9番の季節の真っ只中ですね。季節を問わず年中聞かせてもらっていますが、今年は音楽そのものを求めることが少なくなって熱心に聞くということをしませんでしたし、加えて気張って全集を引っ張り出して悦に浸るようなことはしませんでした。かつては1ヶ月に3回くらいは聞いていた時もあります。
そのような中、つい先だって間違って購入してしまった小澤征爾さん 水戸室内の9番の新譜を今日早朝から聞きました。
ちょいと振るだけで……
やります、やりますといってキャンセルをする……(しかし、クライバーさんのような落胆は全くありません)
と正直ナンセンスと思わなくもありませんが、下に貼り付けた動画を拝見して、察してあまりあるようなご体調ではないかと改めて思いました……。
お話のされ方がいかにも齢を重ねられた感じがします。
以前までは椅子に浅く腰掛けることはあっても殆ど立ったままで指揮されたお姿、左様、水戸室内とベートーヴェンの交響曲のシリーズをやり始めた当初からするとこの度の10分そこらの指揮でうなだれていらっしゃるかのような姿勢で椅子に座っていて……。
お姿にすみません、正直老いと衰えを感じてしまいました。
キャンセルが目立つ中、ベートーヴェンの一連の交響曲の出来も必ずしも個人的には芳しいとは思えない中で誤って購入した第九の1枚の出来は思った以上によかったと思いました。
ただアンサンブルとしてのまとまり、例えば第1楽章で時折素人の耳で所感を申し上げるのは恐縮ですが、ちぐはぐな印象と木管楽器と弦楽器のバランス、言葉にするのが難しいですが、特に木管楽器が強すぎたりヴァイオリンの合奏が乾いていたような音色でパサパサした印象をうけたりしました。弦楽器の音が室内編成で軽いといわれればそれまでですが、個人の嗜好には合いませんでした。
Amazonのレビューにもありましたが、前に前にと進もうとされる姿勢には共感を覚えますし、確かにルーチンワーク的な要素があるような気がします。しかし、色々揶揄される中、小澤さんのご体調を鑑みるとよい出来の部類に入ると思います。
ただ、酷な話ですがクラシック音楽を愛好されている諸氏が散々愉しまれたであろう、フルトヴェングラー バイロイト盤、カラヤン ベルリンの一連の録音などからすると何回も再生するような魅力を持ってはいないのではないでしょうか。
体調を悪くされてもちょいと振る……。あるいは後半20分そこら振るというスタイル……。
小澤さんの恩師のカラヤンは80年代に入ってからお身体を引きずるようにされても気丈に美しく指揮されていました。
カラヤンは82年以降、ヘルニアなどを患って半身不随にちかい状態とベルリン・フィルとの諍いがあって心身ともに色々あっても演奏会はそれでも指揮されていたので小澤さんとの意識の差を感じてなりません。
年齢的な要素(小澤さんは御歳83歳です)もおありでしょうが、もう少しできそうな気がしないでもありませんが下衆の勘繰りというやつでしょうか。
新譜を聞いて演奏のスタイルの好き嫌いはあるにしても、まだできるではないかと1人辛辣な内容を記しながら、気張って欲しいと願ってやみませんでした。