影の本当の実力者、優れた才能を持った指揮者だったゲンナジー・ロジェストヴェンスキーさんが6月に亡くなって(享年87歳)今になり、思いを少し書かせてもらいたいと思います。

ご縁がさほどなく、クラシック音楽を聞き始めからも新譜らしい新譜は輸入盤が僅かに発売されていたものの、田舎にいた個人には気にならないマエストロであり、名前を僅かに認知しているくらいの罰当たりな意識しか持っていませんでした。

しかし、BBC RADIO classicsというレーベルからチャイコフスキーの交響曲第4番が発売になりそのフィナーレの部分が『レコード芸術』の今月の聞きどころとしてサンプルCDに収められていて聞くと仰け反りました。はっきり憶えています。

後に、BBCレジェンドズレーベルから再発売されてそちらを購入して改めて全曲聞きましたが、圧巻でした。チャイコフスキーの4番はスヴェトラーノフさんの来日盤とカラヤンの旧EMI盤、そして下のロジェストヴェンスキーさんのライブ盤、ショルティさん シカゴの4枚で満足かもしれません。



凄い……ですね。プレミア価格でしょうか。個人は2500円前後の輸入盤を以前に求めました。

その激烈な演奏会は、下の動画と一緒だと思います。


最後まで聴衆は我慢できずに歓声をあげております。分かります。前半から凄かったですから。プロムスですから聴衆もフランクな感じで。しかし真剣に聞いています。



こちらは楽しい演奏会。プロムスでしょうか。




ロジェストヴェンスキーさんはプロムスの名物だったような感じがしてなりません。すみません、詳しくありません。

本当の実力者……。しかし、メジャーなレーベルは彼の存在を避けるかのようにして……。その点、日本読売交響楽団は先見の明がありました。名誉指揮者の称号まで贈っています。

今さらですが、デッカなどはケルテスさん亡き後はロジェストヴェンスキーさんにもスラブ系の録音を遺すべきだったと思いますし、録音技術が充分なもとでショスタコーヴィチやプロコフィエフの交響曲全集など文化的遺産として遺すべきだったのではないでしょうか。幸い、メロディアレーベルに遺してくれてはいますが、音質的に納得できない部分がある……御仁もいるのではないでしょうか。

そして、ロジェストヴェンスキーさんは変化球を投げる変わったレパートリーをたくさんお持ちだったことも特筆すべきことでした。

コアな作品のCDがAmazonを眺めているとありますがそこまで触手が伸びません……。

最後の来日ではブルックナーの5番のシャルク版を所望したそうですから、最後まで変化球を投げていらっしゃったことに興味が尽きません。

しっかりと遠慮なくオーケストラを豪放磊落として鳴らす音楽がやみつきになります。











これらをその才能に改めて驚嘆して2年くらい前から求めたCDですが、いずれもライブならではの熱い演奏で模範とするような情熱があり、聞かせる技術を多分にもった指揮者だったと思います。

お亡くなりになりましたが、CDの上ではこれからもゲテモノ的な部分が多分にある鬼才ロジェストヴェンスキーさんの音楽を楽しみたいと思います。