ナタン・ミルシテインさんのバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータを時折聞きますが、これはもはや……演奏しているのではなく……楽器そのものが語っているかのような、更に飾って気取って申し上げれば神様の声を聞いているかのような、演奏している、音楽している=ムジークツィーレンしている時限を超えた世界に行き着いているかのようなそのような森厳な世界に誘われたかのような気持ちになります。
単調な音楽で、正直つまらないと感じなくはありませんがここまで極めて端正な演奏を聞くと途中で放棄するのが失礼な感じがします。
曲に愛着があるのではなく、ミルシテインさんの技巧とかヴァイオリンの音色にことさらひかれます。
ハイフェッツさんよりも個人はミルシテインさん派です。どちらもすばらしいですが、ミルシテインさんの方になんだかひかれます。言葉にはできない、好き、ひかれるというだけです。ハイフェッツさんもすばらしいです。当たり前です。
あとは、ヴァイオリンで申しますとシゲティさん、オイストラフさんあたりが好きです。シゲティさんは鋭い音色が好きですし、オイストラフさんは甘くふくよかなカンタービレが魅力的です。コーガンさんは最近ご縁ができましたが、クールで端正な印象でした。
現役の方では、ヴェンゲーロフさんあたりでしょうか。クレーメルさんは存在は知りつつもご縁が薄くて熱心ではありません。ムターさんは人並みに鑑賞している感じでしょうか。