かずやくんへ
君に手紙を書くのは、これが初めてですね。
僕の気持ちを書いておくので
いつか読んでください。
ママとのお別れの日。
冷たくなったママの頬を
君は不思議そうに触っていましたね。
君の大好きなママがいなくなった事を
君が理解しているのか
あの日の僕にはわかりませんでした。
でも、あれから君は
「ママ」とは言わなくなりましたね。
君は君なりに、ちゃんとお別れをしていたんですね。
○○学園に君が入所する事になって、
寮へ君を連れて行った日。
少し戸惑った様子だったけれど、
君は意を決したように、自分のリュックを背負って、寮へ行ってくれましたね。
君を預けてしまおうとする僕を
振り返りもせずに。
もう暗くなった帰り道
僕は、涙が止まらなかったんですよ。
君がまだ小さい頃、
「かずやくんは可哀想なんかじゃないんですよ。ひとつの個性なんですよ。」
と、励ましてくれる人もいました。
それでも僕は、
君に何も経験させてあげられない事、お話しすらさせてあげられない事
どうして良いのか、わからないままです。
だけどいつか、
僕も君も、天国へ行く日が来ます。
僕は先に行って、きっとママを探して
一緒に君を待っています。
やがて君は人生を全うし
僕達のところへやって来る時
苦しい障害から解放された君は
凛とした魂に生まれ変わって
精悍な若者の姿で
僕とママの前に立ってくれる事でしょう。
その時が来たら
伝えたかった事や、聞きたかった事
そして、僕達家族の思い出を
たくさんお話ししようね。
もし、お兄ちゃんも来ていたら
また家族4人で。
週末の夜、寮へ君を迎えに行くと
寮を出て車まで
まるで軽やかな子鹿のように
スキップをして駆けて行く、
君の後ろ姿が大好きです。
僕が作った、ちっともおいしくないご飯でも、
残さずペロリと平らげて
満腹のお腹を、ポンポンと叩いて見せてくれる
君の仕草が大好きです。
キラキラした、なんのくもりもない瞳で
ニコニコと笑う
君の笑顔が大好きです。
かずやくん
君は、僕の事をどんなふうに思っているのでしょう。
いつか、
君からそんな話を聞かせてもらえるのを
楽しみにしています。
君の親友
パパより