蚪真と煉はバイクに2人乗りで怪盗が乗り逃げた車の後を気づかれぬ様に尾行を開始した

慌てて逃げる怪盗は尾行されているのに気づく様子もなく車を走らせて行く

「くれぐれも慎重にね…」

蚪真の言葉に煉は頷いた

深夜の国道を走り抜ける2台がやがてインターチェンジに侵入しようとした所で
ズッ…ドン!!!

いきなり 前方を走っていた怪盗の車が爆発炎上した

煉が間一髪の所で急停止をかけ 巻き込まれるのを免れた

「なっ…ん!」

蚪真と煉は呆然となり 燃え盛る車を見つめていたが Uターンすると来た道を戻って行った




某所

「…という訳で…してやられまして」

とシムが弁解がましく報告した

「確か…僕は待機しろとは指示したけど 改めて盗んでこいとは言わなかったと思うけど…違ったかな…」

とジェイは一見呑気そうに聞いた

「そ…それは…」

「怪盗に指示を出したのは君…だよね?
勝手な事をしてそれで済むと思ってるの?」

「あ…いえ」

「この世には2つの人種しかいない…僕が必要とする人間とそうじゃない人間…
どうやら…君が前者だと思っていたのは勘違い…だったようだね?…シム」

「…うっ」

シムが慌てふためいてドアの外に逃げようとした時 ジェイは机からトカレフを取り出すとキムの頭をめがけて撃った

パン!

シムの頭から血と肉片が飛び散り 体はその場で前のめりに倒れた

ジェイは死体を一瞥すると指を鳴らした
アランが現れ頭を下げた

「片付けておいて…見たくもないから」

「承知しました」

アランは部下数人に指示すると遺体は部屋の外に運び出された

「シムの後は君にお願いするよ…わかってるとは思うけど…くれぐれも裏切らないでね」

「わかっております」

アランは再度頭を下げると部屋を後にした

「ますます 面白くなってきたな…次はどの手で遊ぶか…なんだけど…ふふふっ」
ジェイは窓の外を眺めながら秘そやかな笑いを漏らした