「う…ん」

部屋のカーテンの隙間から朝の光が射していた

うっすら目を開けた奈穂はまず天井を見て 次に自分の体を探る様に触った

(えっ? パジャマじゃない…)

ハッとしてベッドの上に起き直ると自らの全身を隈なくチェックを入れると

(あたし…あのまま寝ちゃったんだ…)

奈穂は昨日の出来事を思い返すと

(どーしよ…あたし…化け物の餌にならなくちゃいけない…)

そう思うと気が滅入ってきた奈穂は時計を見て

(もう6時…学校…行きたく…ない)

そう思うと涙が流れ出た

「うっ…うっ…」

(やだ…何もかも)

「何泣いてるねん…」

不意にすぐ横で声がした

ハッとして横を見ると朗が立ったまま 奈穂を見下ろしていた

「なっ…いつ入って来たの?」

朗はそれに答えず

「何ないてるねん?
起こしに来て泣いてたらびっくりするやろ?」

とさして驚いてもない様な言い方で聞いてきた

奈穂は顔を両手で拭うと

「…ほっといて」

とつぶやいた

「ほっとける訳ないやろ? 昨日 俺が頼んだ事を気にしとるんやろ?」

「…」

「学校は?」

「…えっ?」

「学校行かんのか?」

「…」

「俺は朝ご飯を一緒に食べよう思って呼びに来たんや」

奈穂はぷいと横を向いてしまった

朗は屈むと

「なっ…少しは心開いてくれんかな?
不安なんはわかるんやが こうツンツンされてはやりにくうて…」

「…」

不意に朗が立ち上がって奈穂の体を横抱きに抱き上げた

「なっ!何するの?!離して!」

手足をばたつかせて抵抗する奈穂を抱え
朗は階下まで階段を降りてから奈穂を解放した

バチン!

奈穂がいきなり朗の頬を右手で打った

衝撃で朗の顔は右に揺れたが

「風呂に入れ…昨日入ってなかったんやろ?」

と言ってから居間に消えた

「…えっ?」

(何で…お風呂入ってないの気にしてる事知ってるの?)

奈穂は言いようのない不安に襲われた