子供が出来るとこんなふうに育てたいと思う。みろくも例外ではなかった。


みろくは運動嫌いだった。特に体育の水泳が大嫌い。小学6年なるころはどうにか25メートルを泳げるようになったが、それでも水泳を好きになることはなかった。


子供が出来たらスイミングに行かせようと思っていた。みろくとは同じ思いをさせたくなかった。小さなころからが良いだろうと、長男が2〜3歳くらいからベビースイミングに入会した。


スイミングを習うことに嫁は賛成してはくれたが、子供と一緒にプールに入ることは一度もなく、毎回、みろくが一緒にレッスンを受けていた。


水に怯える息子を水に慣れさせようと、なだめながら水の中に息子を突っ込んでいた。今思えば、残酷な事をしたなと思う。


長男はどんどん泳げるようになっていった。一方、次男は水に怯えるばかりで、結局は辞めてしまった。


大人になった2人の息子。今は全くプールに行く事はない。2人に水泳の授業の感想を聞いた事はないが、次男が水泳を嫌がっていたというのは聞いた事はない。


親が不得意だったからと、子供達にそれを克服させる事はない。それをみろくは学んだ。子供達には子供達の人生があって、試練もある。それは子供達で乗り越えていけば良い。じっと見守るのも親の役目ではないだろうか。


随分歳をとったか、不得意克服のためにスイミングに通おうか迷う日々である。