眠れない夜は、ベッドに横たわりながらぼーっと考え事をするんだけど
ときどき、その考え事が止まらなくなってますます眠れなくなったりするんだ
今回は、白雪姫のお話について考えてみた
悪までも私の妄想です

昔昔あるところに、王女様がおりました。
王女様には白雪姫という、血の繋がらないお姫様がおりました。
そう、王女さまは、みんなが知っているあの、白雪姫の悪い魔女なのです。
しかし、この物語を知っている大人の皆さん。
このお話、随分と白雪姫に都合が良いお話だとは思いませんか。
本当にお妃だけが悪いのでしょうか。
今日は、そんな悪い魔女とされたお妃について考えていきましょう。
もちろん、私の憶測や妄想も入ります。
あくまでも私的な見方なのでご了承ください。
王様も、国民も、城の使用人でさえも
白雪姫は誰もを魅了していた。
雪のように白い肌、黒檀のように黒い髪、血のように赤い唇
白雪のすべてが、王の後妻である自分には似ても似つかぬ美しさだった。
挙句、お妃は城の使用人や国民から
「白雪姫はあんなに綺麗なのにお妃は」
「白雪姫とは血が繋がってないんだからしかないわよ」
などと陰口を叩かれる始末。
王は結婚してからはお妃には無関心で
ひたすら白雪姫を甘やかしていた。
城の使用人たちも白雪にはとことん甘いため、白雪に厳しい教育が出来るのはお妃のみとなってしまっていた。
お妃は、白雪のためを思い彼女に厳しいことも教えるが実母ではなく継母の身。
白雪からすれば、親でもない女からうるさく言われる事に嫌気がさしていた。
お妃は、夜になると鏡の前に立って考えるのだった。
遠い国から、両親の決めた結婚相手
今の王と結婚し、妃となり、血の繋がらない白雪の母となりこの国を守る王を支えてきた。
なのに自分は、
国民にも、城の使用人にも、王にも、娘からも愛されてはいないのではないか。
身につけたティアラも、ドレスもとても空虚に見えた。
なのでお妃は、毎晩鏡の前でめかしこんでは鏡に
「世界で1番美しいのは誰か」
と尋ねるのであった。
そうすると、鏡に映った自分だけは「あなたが1番美しい」
と言ってくれるような気がしていたのだった。
そんな一人遊びだけが、唯一お妃の心の虚しさを埋めてくれるようだった。
ある朝、白雪はお妃に
「一人で森に行ってみたい」
と言い出した。
森には獣や暴漢などがいてとても危険だとお妃が話したところで白雪は聞かなかった。
そこでお妃は妥協案として、狩人を一人だけ、白雪のお供に付けさせた。
獣や暴漢から白雪を守るためである。
白雪は不満そうにしていたが、渋々と狩人を連れて森へ出かけて行った。
ところが、狩人は数時間後に一人で帰ってきてしまったのだった。
狩人が少し目を離した隙に白雪は行方をくらませてしまったのだった。
その事を聞いたお妃は真っ青になり、王に
「国を上げて白雪を探そう」
と提案したが、国で騒ぎが起きることを避けたい王によってその案は却下されてしまった。
そうこうしてる間に、城下ではある噂が出回っていた。
「白雪姫が城から逃げているらしい」
「妃が仕わせた狩人に殺されそうになったとか」
「妃が姫に嫉妬のあまり、狩人に白雪姫の心臓を狩ってくるよう命じた」
この噂は、お妃が追ってこないように白雪が自ら振りまいた噂だった。
王国内でのお妃の風あたりが強くなっていた。
そのような噂の中でお妃はとある噂を耳にした。
「白雪姫は、森奥の小屋で7人の背の低い男達と暮らしているらしい」
お妃は、少し白雪姫を羨ましいとは思っていたが憎んだりはしていなかった。
たしかに愛情をもっていると言ってしまえば嘘になってしまう部分もあるかもしれない。
ただ、継母であるお妃には
白雪の母としての接し方が分からなかったのである。
やがてお妃は、噂にある
7人の背の低い男達の住む森奥の小屋へ尋ねることにした。
今まで白雪に厳しくしたことを詫び、もう一度白雪にしっかり向き合おうと思ったのだ。
白雪は山奥でしっかり食べられているのだろうか
お妃はそんな心配をしつつ、
白雪の好きだったアップルパイを作るために林檎を籠に詰め
自分を良く思わない国民たちの目を掻い潜るために、黒いローブを羽織り
顔には煤やドロをつけて醜い姿に変装し、深夜ひっそりとお城の裏口から外へ出たのだった。
森の夜はひっそりとしていた。
ザワザワと揺れる木が化け物のように見えたり、遠くで獣の足音が聞こえる気がしたり
足元から目を離すと直ぐに木の芽に足を取られてしまう。
今まであまり城の外へ出たことのないお妃にとってはこの上ない恐怖であった。
森奥の小屋へ着く頃には辺りは明るくなっていた。
日は眩しく、朝露や葉はキラキラと輝き爽やかな風が吹く。
夜中の恐怖が嘘のように森の朝は美しかった。
お妃が小屋のドアを叩くと、本当に噂通り白雪姫が出てきた。
7人の男達は仕事へ出ているらしい。
お妃は白雪に正体を明かし
今まで厳しく接してきたことを侘び、もう一度家族として一緒に暮らせないかと話した。
しかし、白雪はその話に嫌悪感をみせた。
「私の母は亡くなったの。あなたは親でも家族でもない。早く帰らないと7人の男に追い返してもらうわよ 」
そう白雪はお妃に言い放った 。
酷く心を傷めたお妃は、白雪の為に持ってきた林檎を置いて、元きた道を帰って行った。
息が荒いまま白雪が呆然としていると7人の男達が帰ってきた。
そこで白雪は、あることを思いついた。
「さっき、森でおばあさんにすれ違ったんだ」
という男達の前で
「そのおばあさんからいただいたわ」
と言ってその林檎を1口齧り倒れてみせた。
これで、お妃は小屋には近づけなくなるはずだと思ったのだ。
倒れた白雪姫を見て、男達はパニックを起こしてしまった。
白雪が死んでしまったと思ったのだ。
あれよあれよの間に倒れた白雪はガラスの棺桶に入れられ花などで囲まれてしまった。
白雪も大げさに騒ぐ男たちを前に起きるに起きられなくなってしまっていた。
やがて白雪は通りがかりの王子のキスによって起き上がり幸せに暮らすのだが、
私は是非、お妃にも幸せを見つけて欲しいと思う今日この頃なのである。