

やなせたかし氏の“あかちゃんまん”のお皿を大切にしている。
太陽を思わせるような暖かい色合いに、元気をもらっている。
NHKスペシャル『みんなの夢まもるため~やなせたかし“アンパンマン人生”~』という番組を見た。
やなせ氏は昨年の10月に他界された。
氏が広く世に知られるようになったのは69歳の頃だ。
遅咲きといえる。
『手のひらを太陽に』の歌詞は、やなせ氏によるものだが、私は子供の頃から、この歌が大好きだった。
一部分、紹介させてもらう。
『手のひらを太陽に』
作詞やなせ たかし 作曲いずみ たく
「 ぼくらはみんな 生きている
生きているから 歌うんだ
ぼくらはみんな 生きている
生きているから かなしいんだ
手のひらを太陽にすかしてみれば
まっかに流れる ぼくの血潮
ミミズだって オケラだって アメンボだって
みんな みんな生きているんだ
トモダチなんだ」
はじめてこの歌を聞いたとき、「ミミズだって…」のくだりに驚いた。
歌は、美しいものを歌うという思い込みがあった。
しかし、やなせ氏は小さくて、か弱い、決して美しいとは言えないものの命を歌った。
直球しか投げない方なのだろうか。
力強く飾らない言葉が並ぶ。
ストレートに心に響いてくる。
やなせ氏は、ずいぶんと苦難の多い人生を送られた。
幼い頃に父親をなくす。
母親の再婚のため、弟と共に親戚に預けられる。
戦争によって、弟は特攻隊員となり、なくなる。
敗戦によって、正義のための戦争が、悪へと変わった。
正義の戦いなどないことを悟られる。
それならば、まずは最初に、空腹の人を救うべきだと痛感したとおっしゃっている。
これが、アンパンマンになったということだ。
アンパンマンはパンを配る人ではなく、自分の顔をあげて、人を励ますのだ。
ヨレヨレになってしまう姿は、かっこいいとは言えず、せつなくもある。
誰もがみな、弱さを持っている。
けれど、目の前に溺れている子供がいれば、助けようとするのだ。
そんなヒーロー像は、身近にもみられるかもしれない。
『アンパンマンマーチ』は、東日本大震災の際、子供に聴かせたいと、ラジオ局に多くのリクエストがあったそうだ。
けれども、実際には、大人達が励まされた。
当時、身も心も削るようにして活動していた自衛隊員も『いけ!みんなの夢まもるため』というフレーズに、勇気をもらったそうだ。
かわいらしい丸顔のアンパンマンには、やなせ氏の生きる力、希望、見返りのない奉仕の心が、植え込まれている。
それは、愛そのものだ 。
それならば、心を動かされないわけがない。
やなせ氏は、94歳で亡くなられる直前まで、イラストや詩を描き続けた。
やなせ氏を想うと、満足そうな、やさしい笑顔ばかりが浮かんでくる。
自分を燃やし尽くし、愛、勇気、希望を配り歩いた方だった。