じゅうぶんに大人になった今も、胸に痛みがはしる。
私の描く絵は、少しばかり枠からはみ出してしまうのだ。
きれいに描くための技術にそって描けば、うまい絵になるのに、と。
その言葉に、私の描く手も、心も動かなくなってしまう。
この少しはみ出した部分は、そうしたくて、収めきれるはずもなくなって、枠をはずれたものなのだ。
画面上の枠の中には、収まりきれなかった部分なのだ。
私はこの空間へと、自分の内側を描いている。
実際のキャンバスは、放射状に果てしなく広がっているのだ。
はみ出たところからこそ、創造がはじまる。
思いもよらなかった部分を見つめているうちに、見たこともない景色へと誘われていく。
描き始めたときには想像さえできなかった、世界を発見するのだ。
できるなら、この平面から生まれる、感覚の立体感を表現できるといいのに。
喜びを、希望を、悲しみを、絶望を、たくさんの感情を感じながら描く。
この小さな画用紙が持つ、無限の可能性とつながりたい。
愛は、身体の枠を超えることができるのだ。
心をどこまでも広げてくれる。
本当に描きたいものは、そういうものなのだ。