たとえ深呼吸したとしても、この世界のまるごとをうけ止めて、自分のなかに取り込むことはしていなかった。
悲しみの空気、憎しみの空気、そんなネガティブなものはより分けて、受け止めようとはしなかった。
いいところばかり吸い込もうとする、欲張りだった。
今、私の世界と外の世界とが繋がる、本当の呼吸をしよう。
描いた理想とは遠い現実の世界に、NOを突き付け続けるのは、まるで自分のいやな部分を認めず、否定し続けるのと同じように思える。
私は、吸い込む。
この世界の喜び、美しさ、この奇跡を。
そして、この世界の苦しみや憎しみ、葛藤も。
それらは、わたしの身体を素通りするのではなくて、腹の底まで染み渡るように、まるごとを飲み込もう。
痛みを覚悟し、わたしは思い描いた理想世界を断ち切る。
それは、あきらめでなく、この世界を本当に愛するため。
そして、理想の自分を断ち切る。
条件付きの愛を終わらせるために。
ようやく、この世界とひとつになる真呼吸ができそうだ。