ベランダの手すりに積もる雪を撫でると、フワッと羽毛のような軽さだ。
柔らかく握っても、こわれない。
粉雪が舞い上がり、遠く先は見えない。
街の色は白く、形も曖昧になっている。
目から入る情報が少ないと、頭の中にも余白ができて、考えが整理されていくようだ。
まっさらな雪。
ひんやりと覆い隠したというより、包みこまれるようだ。
この部屋ごと雪にくるまれて、孵化前の卵の中にいるような気持になる。
与えられた命を身体と心で感じ、生きながらに新しく生まれでる最中にいるように思えてくる。
雪は天から降り、また天へ昇っていく。
姿を変える一瞬の、無のような、有のような緩やかな繋ぎ目がある。
まっさらな雪は、浄化の雪。
この大雪を優しく差しのべられた手のように感じている。