主人公や、その傍らで、物語の世界へと踏み込む。
動物や木の葉にも、感情移入して、深く入りこんでいく。
アフリカの砂漠を旅したり、時を超え、歴史の一時代へ紛れこむこともできる。
つい最近では、宇宙から地球を眺め、愛について語るのを聞いた。
物語の中に、見たことのない景色や、持っていなかった視点を発見することもある。
この生のなかで、感じ得る、深い理解の瞬間が時折、訪れる。
私の物語も生まれた時、始まった。
幼い頃、毎日のように、太陽の下で遊んでいた。
サルビアの花の蜜を吸ったり、朝顔の花の汁で、色遊びをした。
大きくなると、夕日や、星の光に引かれていった。
夜空に、流れ星や星座を探した。
夫となった私の恋人は、望遠鏡で、宇宙に浮かぶ土星の輪を見せてくれた。
そして、身体が丈夫ではなかった家族には、生と向かい合う時の、人の強さや弱さ、そして、命がかけがえないものであることを教えてもらった。
今、思いつくだけでも、たくさんの宝物をもらってきた。
どれも、手にいれようと必死になったものでなく、ごく自然に、そこにあったもの、与えてもらったものだ。
遥か遠く、秘宝を追い求めるのでなく、目の前に差し出されていた当たり前のものが、宝物だった事に気づいて行く旅なのかもしれない。
私は、私に与えられる事柄を、真っ直ぐに、まるごとを受け取ろうと心に決めている。
世界から贈られた物を、しっかりと味わう。
二転三転する物語の中で、いい事も、そう感じられない事も受け入れて、自分に与えられた生を全うするのだ。
この計り知れない世界の物語のなかで、私の物語を続ける。