味わい尽くす | ギフト〜なな色の羽

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私の中から産まれたがった言葉やお話を書いています

 昨年の夏に、七宝焼のネックレスを買った。

 シルバーのチェーンに、パイナップルのモチーフがついていて、とても気にいっている。

 繊細な可愛らしいパイナップルの両脇には、小さなスワロフスキーが三つずつ並ぶ。

 お店の人が教えてくれた。

 この作家さんは、動物をモチーフに作るのだけれど、パイナップルが好きで、これだけは、ちょっと変わったものだという。

 商品について語れるのは、強みだなと思う。
 
 肌によく馴染む色合いも気に入り、買って帰った。

 このネックレスを身につけると気分がいい。

 作家さんの好きという想いが、作品から感じられるからかもしれない。


 先日、久々に、そのお店にでかけた。

 そこで、春限定と書かれた、桜のモチーフの七宝焼きのネックレスを見つけた。

 お店の人は語る。

 この桜の花びらは、真っ白なんです。

 花開いたばかりの桜を表現したいということで、この色にこだわったそうです、という。

 可愛らしく、品の良いものだった。

 買おうかどうか、しばらく迷った。

 私は、自分の持っているネックレスを思い浮かべ、買わないことに決めた。


 帰りみちに、本屋に寄った。

 山積みにされた単行本を手に取り、ランダムにめくると、目に飛び込んできた文章があった。

 「 いまあるものを味わい尽くしましょう。
      もう十分に受け取っているはずだから。」※


 タイミングがよすぎて、苦笑いをした。

 そして、私は自分に問いかけた。

 今、持っているものを味わい尽くしているだろうか?

 味わい尽くすとは、そのものの良さを充分に堪能し、肯定的で尊重した扱いをすることだと思う。

 物を大切に扱う姿は、とても美しいものだ。

 私は、決めた。


 味わい尽くそう。


 それは、身につける物に対してだけでなく、大切な人への想い、経験する事柄、自然や生命など、すべてに対して、といえるのかもしれない。


 出来るかどうかは傍におくことにする。

 決める事が、今はとても大切に思える。


 好きなアイテムがたくさんあるというのは、新鮮で、楽しい。

 けれども、たくさんではないが、このひとつ、ひとつが、心から大切なのだ、というのは、より心惹かれる。

 それが、本当に豊かということなのだろう。



  ※『覚悟の磨き方』超訳  吉田松陰 /編訳  池田貴将/サンクチュアリ出版