父は長年、日本料理の板前をしていたので、おせち料理は、毎年、父がつくっている。
親戚の分もつくり、私たちも仙台に、持ち帰る予定だ。
おせちの中身は、昆布巻き、お煮しめ、きんとん、田作り、黒豆などシンプルなものが整然と美しく詰められる。
豪華で凝ったものは入っていない。
それが、とても美味しく感じられる。
父は、ほとんど手を加えないものが本当は、1番おいしいのだと、いつも言う。
シンプル イズ ベスト、と慣れない英語で、先程も言っていた。
父は今、玉子焼きを焼いている。
家の中から、外までも甘い香りが漂っている。
その幸せな香りのするなか、東京の空を見上げて思った。
澄んでいる。
もっと、グレーがかった色をイメージしていたのに。
白い飛行機が、空高く飛び、日差しは、やわらかく、あたたかで、年末のご褒美のように感じられる。
東京だから、仙台だからと、少しの違いを、大きな思い込みや誤解で、歪めて見てしまうことがある。
でも、同じ空の下にいる。
どこにいるかよりも、そこで何をするかの方が大切なことだ。
今年は常に、感じていたことだった。
言葉をつくすことよりも、想いを伝えたいと思ってきた。
シンプル イズ ベスト。
たくさんの色付けされてきた自分の、本来の姿を見つめたい。
そこに、本当の自由と喜びを見つけられそうだ。