新しい年がもうすぐやってくる。
来年のカレンダーを選ぶのは、楽しみのひとつだ。
藤城清治氏をご存知の方は多いと思う。
日本を代表する影絵作家だ。
氏のカレンダーを毎年、楽しみにしている。
初めて氏の作品を見たのは、おそらく、小学生の時だったと思う。
光と影の神秘的な物語の世界に、引き込まれた記憶がある。
そして、結婚する前、夫と一緒に出掛けた作品展で、藤城氏をお見かけした。
優しい雰囲気のなかにも、強靱さを感じさせる方だった。
購入したばかりの画集を差し出すと、快く、サインをしてくださった。
その後、大家族旅行の際に、氏の常設の作品展をみる機会があった。
皆で観るとなると、予算オーバーになるのか、母は迷っていた。
どうしても観たい、と繰り返し言うと、
私の思い入れの強さに、母が驚いていたのを覚えている。
暗いなかを進んでいくと、色とりどりの光が、目に飛び込んできた。
そこに、もう日常はない。
少女や小びと、童話、ファンタジーの世界、美しい四季の世界が広がっている。
どんな夢をみてもいいのだ。
影絵の下には、水が張られていて、水面にも、同じ夢の世界が映りこむ。
夢の世界がまた、夢を映し、果てしなく広がっていくようだ。
完全に、異空間へと連れていかれてしまった。
氏の作品からは、命の喜び、希望や愛、調和や平和への願い、といったメッセージが伝わってきた。
家族みんなで感動を共有した、忘れられない思い出となった。
藤城氏は震災後、被災地に入られて、奇跡の一本松や、福島原発の姿を、影絵で描かれた。
その影絵には、氏の祈りや、力強い愛が刻まれているように感じる。
来年には、90歳を迎えられる。
長い間、そして、今も、たくさんの光を灯し続けていらっしゃるのだ。