絶望の中で、光を見出す


自転車で 買い物に行くため

家を出ようとした瞬間 実母からの電話



「もしもし お父さんが 今朝 倒れたの」



予想していなかった内容に

言葉を失う



「お父さんがね 脳から出血が多くて

いまから 緊急で手術が必要って…

先生と話す?」



電話越しの母の声が震えている



電話の相手が医師に代わり



「脳出血で、出血が多量のため

緊急で即時に手術しないと

命の危険性があります」



 急いで 荷物をまとめ

搬送先の総合病院に 駆けつけた



面会待機場所の 家族ラウンジには

真っ青になった母と

いまにも泣き出しそうな 妹の姿がみえた



長時間に及ぶ 手術の後 

医師からの説明を受ける



「手術は成功しました

脳の出血が多量でしたが 

一命は取り留めました


いまは人工呼吸器を付けた状態で…

意識はまだ戻っていません


元の生活に戻るのは難しいでしょう

寝たきり、車椅子の生活で…

言葉も何とか話せるかどうか…」



意識が戻った後 

今までのように

身体が動かせない…

言葉が話せない…



想像を絶する現実を

これから 父は 

受け止めなければいけないのだと思うと

無力な私が 悔しくて

寝ている息子達を横に 泣き崩れた



私達 家族を養うために

何一つ 愚痴を言わず

小柄で華奢な体型で

重労働の中 働き詰めだった父

2年前に 早期退職していたけれど

無理が重なり 

身体が悲鳴を上げていたのだろうね



私は 懸命に働く 父の背中を見て

育ってきた

父が 私の目標だった



お父さんがいてくれたから 私は いま

こうして 生かされているんだと



息子のはるちゃんが 産まれて 

誰よりも 一番 喜んで 

可愛がってくれたのは お父さんだった



はるちゃんが 3歳になったら

鉄道を一緒に 見に行くんだと

楽しみにしていた父



ねぇ お父さん

今度は 私達 家族が 

お父さんを 支えるからね



はるちゃん、さくちゃんを

一回りも 二回りも

大きく 逞しく成長させるね



ねぇ お父さん

絶望の中で 光を探す作業

最上級の学びを 与えられたんだね



お父さん

今度は 私が生きる希望を 見出すから

お父さんの心に 光を灯し続けるよ