コンピューターの中の情報を狙うクラッカー
「飢えた狼の群れのなかに肉を放り込む」のは危険であることの例えだが、「無防備なコンピューターをインターネットに接続する」とも同じ意味だと言える。米メリーランド大学が行った実験では、ネットに接続されたコンピューターが38秒に1回の割合で攻撃を受けたという。


メリーランド大の実験は、4台のLinuxマシンをインターネットに接続した状態のまま放置しておくというもので、比較的セキュリティを弱く設定した。その結果、実験期間の24日間に実に26万9262回の攻撃があった。平均して39秒に1回である。しかもこのうち、824回は成功したという。

これらの攻撃の大半は、ユーザ名とパスワードを推測してコンピューター内に入ろうとする「辞書攻撃」だった。このタイプの攻撃は、辞書にある言葉を片っ端から入力してトライし、たまたま一致すると、遠隔からコンピューターを操作できてしまうものだ。

人間が手作業でやるのではなく、プログラムを使って猛スピードで入力していくため、組み合わせが膨大であっても正解にたどりつくことができる。つまり第三者に推測可能なユーザー名とパスワードは、いつかきっと破られる。

コンピューターの中の情報を狙うクラッカーは、キーボード操作を記録してパソコンの操作を盗み見する「キーロガー」や、画面のスクリーンショットをキャプチャして送信するスパイウェアを仕掛けてくる。しかし、実際、もっと危険なのは、簡単に推測されてしまうIDとパスワードなのだ。


目的は構築
攻撃者が試みたユーザー名は、まず「root」「admin」が最も多く、次いで「test」「guest」「info」「adm」「user」「mysql」などがみられたという。また、パスワードには、ユーザー名と同じものを繰り返したのが43%。他のほとんどは、ユーザー名に「123」などの単純な数字を付けていた。

管理者のユーザー名である「root」「admin」は、攻撃者が当然真っ先にトライする。いいかげんなパスワードを使っていたら、ひとたまりもなく制御を奪われてしまう。

管理者でないユーザーIDも侵入の突破口になるので危険であることに変わりはない。「test」など、いかにもセットアップの段階で作成してしまいそうだ。不要なアカウントは早急に削除すべきだ。もちろん、ユーザー名と同じパスワードなど論外である。

この実験では、コンピューター内には重要な情報は一切入れていなかったが、執拗に攻撃が繰り返されたという。このことからクラッカーの目的は、コンピューターの中の情報ではなく、マシンの制御を奪って「ボットネット」に加えるだと考えられるという。

ボットネットにリソースを提供することで、立場は被害者から加害者になってしまう。コンピューターの設定をいまいちど見直してはいかがだろう