脳梗塞 遺伝子

1月8日3時2分配信


 日本人に多い脳梗塞(こうそく)発症に関係する遺伝子が、九州大学大学院医学研究院と東京大学医科学研究所の共同研究で分かった。DNA塩基の個人差で、動脈硬化と密接に関係するたんぱく質ができ、発症率に2.8倍の違いが出た。研究結果は、日本時間で8日付の米科学誌「ネイチャー・ジェネティックス」(電子版)に掲載される。
 九大が1961年から福岡県久山町で行っている生活習慣病の疫学調査で集めた健常者と、九大病院などの脳梗塞患者(それぞれ1126人)の遺伝子を比較。DNA上の塩基配列の個人差(一塩基多型=SNP)を調べたところ、「PRKCH」と呼ばれる遺伝子のSNPが脳梗塞と関係していることが分かった。
 このSNPにはアデニン(A)と、グアニン(G)という塩基があり、人にはAA、GA、GGの3タイプがある。脳梗塞患者は健常者に比べ、Aを持つ人が1.7倍多かった。
 また、88年に久山町で行った健診受診者約1600人を追跡調査。健診後、脳梗塞を発症した人の遺伝子を調べた結果、AAのタイプの人は、GGの人より脳梗塞発症率が2.8倍高かった。
 脳梗塞などの生活習慣病は、複数の関連遺伝子と、生活・環境因子の影響で発症するため、Aの塩基を持っているからといって脳梗塞を起こすわけではないが、発症にかかわる遺伝子を解明することで、治療薬の開発や発症予防につながるという。
 九大などの研究グループは、高血圧や糖尿病など他の生活習慣病のほか、かいよう性大腸炎についても関連遺伝子の研究を進める方針。九大大学院医学研究院の清原裕教授は「脳梗塞の関連遺伝子は他にもある。発症メカニズムを明らかにして治療法や予防法を確立したい」と話している。


最終更新:1月8日3時6分