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人と建物が調和する、夕暮れの京都。夕日を浴びてゆっくりと影に沈んでいく町屋の並びからは、京都の歴史、そこに住んできた人々が育んできた時間が漂っている。昔のままに残る街並みが少なくなる中、町屋を生かそうと新しい試みも続けられている。新しいものも古いものも合わせて受け入れる懐の深さが、京という都の文化でもある。
町家は「うなぎの寝床」と言われ、奥行きの長い家屋の入り口だけが道に面している。どこも似たつくりと眺めると、表の美しさで満足し、中身の文化は一見だけでは分かりにくいかもしれない。
縁がまっすぐそろった一文字瓦や窓の下の駒寄せ、目の上の虫かご窓はどこも似たつくりで、少しずつ違う形をしている。小さな個性を追ううち、ふと緑の連絡板が目に入った。舞妓さんの授業内容だろうか、「長唄」「舞踏」「三味線」などの文字が並ぶ。ごく当たり前のような顔を見せる“町屋ならでは”の文化が、ひょんなところから顔を出した。
「祇園」と文字の入った提灯が横で揺れる
 歩きながらふと顔を上げると、いかつい顔と目が合った。にらみを利かせる鍾馗(しょうき)さんは、町家の小さな守り神だ。屋根がわらと同じ土で作られ、主人が留守の間も、玄関の上で家を守る。中国の玄宗皇帝の夢枕に立った故事から生まれたという説があり、悪鬼や邪気をはらう神様としてまつられている。