2006ワールドグランプリ

2006年09月11日

強豪ブラジルの攻撃をブロックする高橋みゆき(左)と荒木絵里香(右)=20日・有明
強豪ブラジルの攻撃をブロックする高橋みゆき(左)と荒木絵里香(右)=20日・有明


 今秋の世界選手権、そして、その先にある北京オリンピックを見据え、「ワールドグランプリ2006」に挑んだ柳本晶一監督率いる全日本女子。しかし、目の前に立ちはだかった世界の壁は高く分厚いものだった。予選ラウンドを5勝4敗の6位で何とか突破したものの、決勝ラウンドでは1勝も挙げられずに3連敗。結局6位で大会を終えることになった。全12試合を消化したこの約1カ月の戦いの中で、柳本ジャパンは一体何を得たのだろうか――。


■柳本ジャパンが見せた鮮やかなスタートダッシュ

 8月18日から有明コロシアムで行われた予選ラウンド第1週の東京大会。ここで全日本が見せた鮮やかなスタートダッシュは、日本のファンや世界のライバル国に対し、「今年の日本はひと味違う」という印象を与えるに十分な内容だった。
 まずは初戦のキューバ戦。エース大山加奈(東レ)や新戦力の荒木絵里香(東レ)を中心に、日本のスピード豊かなコンビバレーがアテネオリンピック銅メダリストを圧倒した。とくに、日本国内で行われる国際大会では初のスタメンに抜擢された荒木が、持ち前の高さとパワーに加え、切れ味鋭い移動攻撃でキューバのブロックをものともしなかった。翌日の韓国戦でも、途中から出場した落合真理(久光製薬)が攻守に渡って大活躍。5年ぶりに招集された全日本で伸び伸びとプレーし、「永遠のライバル」韓国をまったくと言っていいほど寄せつけなかった。

 しかし、開幕2連戦をいずれも3-0で快勝した日本も、第3戦のブラジル戦では、世界のトップチームとの差がまだまだ大きいことを痛感させられる。第1セットこそ終盤まで互角に渡り合ったが、最後に突き放されてこのセットを失うと、第2、第3セットは終始ブラジルのペースで戦わざるを得なかった。荒木、落合に続くニューヒロインとして、中国からの帰化選手で初代表の小山修加(久光製薬)が奮闘したが、相手に傾いた流れを引き戻すまでには至らなかった。
「ここに打たれると厳しい、ここを攻められると嫌だなというところをブラジルは徹底して突いてくる。それが日本との差じゃないかなと感じた」
 ストレート負けを喫した試合後、柳本監督はそんなふうに感想を述べている。具体的に挙げたチームの課題は、大会前の合宿で時間をかけて強化してきたはずのブロックとサーブだった。


■驚異の粘りが生んだ劇的な逆転勝利

 戦いの場を韓国のソウルに移し、25日から行われた予選ラウンド第2週では、ヨーロッパ王者のポーランドと地元韓国にストレート勝ち。最終戦でロシアに屈したものの、全日本は韓国大会を2勝1敗で乗り切り、決勝ラウンド進出の望みを第3週の岡山大会へとつなげていた。

 その岡山大会。9月1日に対戦したドミニカ共和国との一戦は、最後の最後まで勝敗の行方がわからない大接戦だった。高橋みゆき(NEC)や杉山祥子(NEC)らが多彩なコンビネーションを披露して第1セットを奪うと、ドミニカも高い跳躍力とパワーを生かしたスパイクで第2セットを奪い返す。その後、1セットずつを取って迎えたファイナルセットも、両チームが互いに譲らず激しい攻防が繰り広がられた。先にマッチポイントを握ったのはドミニカだったが、絶体絶命のピンチでも日本は決して諦めなかった。驚異的な粘りで相手のミスを誘うと、最後は木村沙織(東レ)のスパイクがドミニカの高いブロックを打ち抜いた。試合後、キャプテンの竹下佳江(JT)が「全員の勝ちたいという気持ちが相手を上回った」と振り返ったように、執念でもぎ取った気迫の勝利だった。

 ところが、翌2日のイタリア戦と3日のブラジル戦に関しては、「気持ち」で何とかする以前に、技術、戦術面での実力差が歴然としていた。イタリアもブラジルも緩急をつけたサーブで揺さぶりをかけ、日本が得意とする速い攻撃をほぼ完璧に封じ込んだ。柳本監督が「日本の生命線」というサーブレシーブが崩されてしまっては、格上チームを相手に対等に勝負することは難しかった。いずれのゲームも1セットすら奪うことのできない完敗だった。ただ、通算5勝4敗で予選ラウンドの全日程を終えた柳本ジャパンは、当面のライバルだったアメリカが4勝しか挙げられなかったことで6位以内が確定。再び強豪国と対戦できる大きなチャンスを手に入れた。


■目の前に立ちはだかった世界の高く厚い壁

 イタリアのレッジョ・カラブリアで行われた決勝ラウンド。日本は予選ラウンドでも対戦したロシアと7日に、二度の完敗を喫しているブラジルと8日に対戦した。予選ラウンド終了時に柳本監督が「イタリアでは新しい選手を試してみたい」と語っていた通り、全日本は小山やチーム最年少で19歳の石川友紀(武富士)が初めてスタメンに名を連ねたが、その起用がすぐに勝利に結びつくほど決勝ラウンドに勝ち上がってきたチームは甘くなかった。ロシア戦では平均身長ではるかに上回る相手の高さに苦しみ、あっさりと2セットを献上。第3セットも終盤までに最大6点あったリードを守ることができなかった。今大会三度目の対戦となるブラジル戦でも、小山や石川の活躍で第1セットを先取する意地を見せたが、第2セット以降、本領を発揮したブラジルに圧倒されてしまう。

 そして、日本にとって今大会最後の試合となる9日の相手は、何と世界ランキング1位の中国だった。中国はイタリア、キューバとのグループリーグを1勝1敗で切り抜けながら、得点率でグループ最下位になり、この5位6位決定戦に回ってきたのである。何名かの中心選手を欠いていたため、コンビネーションが噛み合わない場面が見られたが、やはりさすがはアテネオリンピックチャンピオン。総合力では日本より一枚も二枚も上を行っていた。日本は菅山かおる(JT)を中心に懸命なディフェンスで対抗するも、またしても後半に連続失点を重ね、ストレートで敗れてしまった。昨年の5位から何とかメダル圏内の3位を目指した柳本ジャパンだったが、最終成績は6位だった。

 今回のワールドグランプリ2006は、荒木や小山ら、新しい力が全日本に厚みを加えたという収穫があった一方で、一人一人があと2つのミスを減らそうと掲げた「アンダー2」というチームのテーマが、まだまだ未完成であることがはっきりした大会でもあった。世界の強豪に混ざって国際大会でメダルを獲得するためには、取り組まなければならない課題も多い。まずは次なる目標となる秋の世界選手権で、柳本ジャパンがどんなプレーを見せてくれるのか。期待は膨らむばかりだ