意地と英雄、イタリア対フランスに含まれたエッセンス
24年ぶり4度目の世界制覇に王手をかけたイタリア。対してフランスは8年ぶり2度目の戴冠まであと1勝と迫った。
迎えた準決勝、イタリアは地元ドイツに苦しみながらも延長戦の末に2対0と勝利し、これまで1970年、82年、94年と過去12年ごとに決勝進出を果たしているという“げんのいい”歴史を繰り返した。過去W杯では4戦2勝2分けと負けなしの相手ドイツ、相性のよさも味方したかもしれない。準々決勝までの5試合をオウンゴールによる1失点に抑えていた堅守は、ドイツ戦でも健在。決勝トーナメント進出をかけたチェコとの激戦(グループリーグ第3戦)でレギュラーCBネスタを故障で失ったものの、キャプテン・カンナヴァーロ、守護神ブッフォンを中心とした守備でその穴は感じさせず、大歓声をバックに攻撃を仕掛けるホスト国を最後まで無失点に抑え切った。
試合は両チーム無得点のまま延長戦に突入すると、イタリアの攻撃的な選手交代が功を奏した。指揮官リッピは91分にカモラネーシに代えてイアクィンタを、104分にはペッロッタを下げてデルピエーロをピッチに送り出す。ポイントは交代に切られたカードではなく、その起用法だ。まず、右MFだったカモラネーシに代わったFWイアクィンタは、やや変則的ながらも右サイドの高い位置に入り、トーニに代わったセンターフォワード・ジラルディーノをフォロー。そして、重要だったのはデルピエーロの投入だったが、それまで精彩を欠いていたトッティではなく、ペッロッタと代わって入ったことが攻撃に幅をもたらした。
この交代で4-4-1-(1)でスタートした布陣は、4-2―3-(1)に変化し、それまで(1)のフォローがトッティ1枚だったのが、3枚へ。そしてフレッシュなデルピエーロとイアクィンタが両翼をワイドに使い出したことが、結果的にドイツ守備網を破綻させ、2ゴール(119分、121分)へとつながった。もし、トッティに代えてデルピエーロという選択をとっていれば、布陣に大きな変化はなく、結果は違っていたかもしれない。それだけに、リッピのイタリアらしくない攻撃的采配が奏功したと言えるだろう。
一方、今大会限りでの現役引退を表明している主将ジダンが牽引するフランスは、ブラジル戦の勢いこそなかったものの、エース・アンリが巧妙に奪ったPKをジダンがきっちりとものにし、1対0とポルトガルを退けた。ボール支配率41%、シュート数5対12とその数字を見れば、内容の苦しさが分かるが、マン・オブ・ザ・マッチに選出されたCBテュラムらの奮闘もあって、何とか失点をゼロで切り抜けた。イタリア同様攻撃にやや迫力を欠くフランスだが、ここまで6試合で失点2とやはり守備の固さが目立っている。
グループリーグは1勝1分け(イタリア)、2分け(フランス)と不安なスタートとなった両チームだが、その後はともに堅守を武器に4連勝で決戦の舞台に駒を進めてきた。“アッズーリ”対“ル・ブルー”。守備力、控え選手を含めた総合力ではイタリア、主力の経験値ではややフランス有利か。攻撃は10選手で11ゴールと、よく言えばどこからでも得点できる、悪く言えば決め手のないイタリアに対して、フランスはアンリ、ジダンのホットラインに若手のリベリーが絡んだカウンターに依存する兆しがある。
近年の対戦を振り返っても、98年大会準々決勝はスコアレスドロー(PK戦の末にフランスが勝利)、EURO2000決勝では延長戦の末にフランスが2対1と勝利するなど、僅差の勝負が続いている。
片やセリエA(国内リーグ)の不正工作スキャンダルに揺れるなか、チームとして結束力を高めてきたイタリア。片や英雄ジダンに有終の美を飾らせてやろう、という想いがチームに大きな求心力を生んでいるフランス。果たして4年前の地獄(※)から先に抜け出すのは、どっちか。その答えは7月9日、ベルリンでのファイナルで明らかになる。
※2002年W杯、イタリアは決勝トーナメント1回戦で共催国・韓国の勢いに飲まれて勝利を目前に逆転負け、一方のフランスは1得点も挙げること叶わずグループリーグ敗退となった
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