浜岡原発5号機のタービン羽根50枚損傷

15日の自動停止で


羽根の一部が脱落、ひび割れが見つかった発電用タービンの羽根車(中部電力提供)

 中部電力浜岡原発5号機(静岡県御前崎市、138万キロワット)の発電用タービンが異常に振動して6月15日に原子炉が自動停止し、羽根1枚が折れていた問題で、タービン2基の計50枚でも、羽根の根元に損傷があったことが30日、同社の調査で分かった。調査は継続中で、破損個所はさらに増える見通しという。中電は原因によっては製造元の日立製作所に損害賠償を求める構えだ。

 経済産業省原子力安全・保安院は同型タービンのある北陸電力志賀原発2号機(石川県志賀町)も点検させる方針。週明けにも北陸電が点検計画を提出し、来週中に停止する。

 タービンを製造した日立製作所は「設計上の問題と考えている」(広報部)として、社内に執行役常務を責任者とする対策本部を設置した。同社は「原因究明には長くかかる」との見通しも示しており、運転停止が長期化する恐れが出てきた。

 日立は米ゼネラル・エレクトリック(GE)と共同で、米国の原発建設を受注する見通しを明らかにしたばかり。最新鋭発電タービンが営業運転開始から1年半ももたずに使用不能となったことで、海外進出戦略にも影響しそうだ。

 問題のタービンは最新鋭機。従来の沸騰水型軽水炉(BWR)より蒸気流量が多い改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)に対応し、羽根を大型化するなどの改良を加えた。

 中電によると、これまでに調べたのは3つの低圧タービンのうち2つ。羽根が脱落した動翼を取り外し、羽根の付け根を確認した結果、脱落したのを除く139枚のうち28枚で取り付け金具の一部が折れ、18枚でひびが入っていた。もう1つのタービンは調査中だが既に4枚に折れやひび割れが見つかったという。3つ目についても近く調査する。

 ABWRは、炉心で冷却水が沸騰してできた蒸気を直接、タービン建屋に導き、高圧タービン1機と低圧タービン3機を回して発電する仕組み。タービンを動かす蒸気は放射能を帯びているが、中部電は、タービンには二重のカバーがあり、損傷しても蒸気が漏れることはないとしている。

 <改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)>  従来の沸騰水型軽水炉(BWR)を改良した原子炉。原子炉格納容器を小型化、原子炉建屋と一体化して構造をシンプルにしたのが特徴。BWRは電気出力110万キロワット級が最大だが、ABWRは炉の熱出力増強やタービン大型化などで135万キロワットを超える。1996年11月に運転開始した新潟県の東京電力柏崎刈羽原発6号機が最初で、同7号、中部電力浜岡原発5号、北陸電力志賀2号がある。電源開発大間原発や東電、中国電でも新設計画がある。