岩城宏之さんが死去

 世界的な指揮者

 ベートーベンの交響曲全9曲の連続指揮に挑戦する岩城宏之さん=04年12月、東京・上野の東京文化会館

 NHK交響楽団正指揮者を務め、世界的に活躍した指揮者で日本芸術院会員の岩城宏之(いわき・ひろゆき)さんが13日午前零時20分、心不全のため東京都内で死去した。73歳。東京都出身。葬儀・告別式の日取り、喪主は未定。

 1956年、N響の特別公演でデビュー。60年のN響世界一周ツアーに同行して国際的に注目された。60年代半ば以降、ベルリン・フィルやウィーン・フィルを指揮して世界の一流に仲間入り。

 オーケストラ・アンサンブル金沢音楽監督、札幌交響楽団桂冠指揮者などを務めた。

 サントリー音楽賞、紫綬褒章などを受けている。

(共同)
(2006年06月13日 14時14分)

 6月1日に岩城さんが指揮を務めていたオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)のゼネラルマネジャー山田正幸氏が見舞いに訪れると、点滴を打ちながら「大丈夫、大丈夫」と笑顔で話していた。当初は10日にも復帰の予定だったが、体調が戻ることなく息を引き取った。葬儀・告別式は近親者のみで営まれ後日、お別れの会を開く。

 ベートーベンなど後期古典派から、打楽器をふんだんに使った現代音楽まで意欲的に取り組む一方で、病気とも戦い続けた。87年、重労働がたたり、首のじん帯にできた骨が脊椎(せきつい)の神経を圧迫する「後縦靱帯骨化症」を患い、首の骨を切断する手術を受けた。89年胃がん、01年に咽頭(いんとう)がん、昨年は肺がんを手術した。

 8月に復帰後の年末、ベートーベン交響曲第1番から第9番まで10時間続けて演奏した。「ベートーベンで命を失うのは仕方ない。それぐらいベートーベンを尊敬している」と語り、隠れて酸素吸入をしながら、指揮棒を振り続けた。音楽に生涯をささげた。