明日の記憶
5月13日公開 日本映画/2時間2分

 「バットマン ビギンズ」「SAYURI」と、ハリウッド映画で活躍する渡辺謙が荻原浩の原作に惚れこみ、自らエグゼクティブ・プロデューサーとして映像化を果たしたヒューマンドラマ。「若年性アルツハイマー」をテーマに生きることの意味を問いかけた原作は、昨年の第2回本屋大賞第2位にランクインしたほか、第18回山本周五郎賞にも輝いた。監督は「トリック」の堤幸彦。堤監督ならではの映像表現が、主人公の心理を効果的に描出する。

走る人 オフィシャルサイトはこちら

 




 渡辺謙、樋口可南子扮する佐伯夫妻をめぐる人々には、多彩で豪華な顔ぶれが揃う。

  佐伯の一人娘は吹石一恵、その婚約者には坂口憲二。佐伯の会社に目を向けると、部下には田辺誠一、袴田吉彦、水川あさみが顔を揃え、上司には遠藤憲一が控えている。そして取引先の相手は、香川照之という具合。さらには、妻、枝実子の親友に扮するのは、渡辺えり子。佐伯を診断する若き医師にはミッチーこと及川光博が扮し、とんねるずの木梨憲武が佐伯の通う陶芸教室の先生を演じる。そして、佐伯に大きな影響を与える陶芸家として大滝秀治が登場する。

 まさに「主演クラス」ばかり、“知らない人は出ていない”と言ってもいいくらいである。しかもその誰もが、「顔だけ出しました」では終わっていない。それぞれの登場人物が佐伯に絡み、キャスト自身の存在感と相まって、深く観客に印象を残す。キャラクターの説得力を高めるために、観客が抱くキャストのイメージに近い配役が行われているともいえそうだ。

 無理のあるシーンで唐突に登場するなど、とかく効果的に機能させることが難しい“豪華キャスト”だが、本作についての心配は無用。キャスティングの妙も楽しめることだろう。