バリ3 糖尿病教室

糖尿病 高血圧症 高脂血症 肥満症 食事療法 運動療法



 現在わが国では約690万人の糖尿病患者がいると考えられ、特


に40歳以上の国民ではその10人に一人以上が糖尿病であるとい


われています。このように国民病化してしまった糖尿病は失明や尿


毒症の原因となるばかりでなく、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす原


因になります。この糖尿病について勉強しましょう。


糖尿病の合併症


糖尿病の薬物療法


1 糖尿病とは


糖尿病とはどういう病気ですか?


 糖尿病は血液中のブドウ糖濃度(これを血糖値と呼びます)が高い状


態が持続する病気です。糖尿病でない人では、食後、食物に由来する


ブドウ糖やアミノ酸が体に吸収されると、膵臓からインスリン(インシュリ


ン)と呼ばれるホルモンが分泌されます。このインスリンの働きにより食


物から吸収されて血液に入ったブドウ糖が筋肉組織などへ取り込ま


れ、血糖が一定値以上に上昇しないようになっています。このインスリ


ンによる血糖低下作用が弱くなると糖尿病になります。ですから、膵臓


から分泌されるインスリンの量が減少したり、あるいはなんらかの原因


で、分泌されたインスリンがうまく働くことができなくなると糖尿病になる


わけです。実際、多くの糖尿病患者さんでは、インスリンの分泌量も低


下しているし、分泌されたインスリンの効きかたも弱くなっています。



 糖尿病では、インスリン作用の低下のため食事として摂取したブドウ


糖が筋肉などの細胞に入っていきにくくなるため、細胞内でエネルギー


不足をきたし、また、ブドウ糖はそのまま血液中にとどまり血糖が高くな


り尿の中に糖があふれ出るようになります。また、ブドウ糖などの糖質


だけでなく蛋白質や脂質の利用まで障害されます。これらの結果、高血


糖、高脂血症(血液中の脂肪が異常に増加した状態)となり、それらに


より血管や神経が障害されいろいろな合併症が出現します。



 糖尿病には2つのタイプがあります。1型糖尿病は小児や若い人に多


く、ウイルスの感染などによりインスリンを作り分泌する膵臓のランゲル


ハンス島が破壊され、インスリンを全く分泌することができなくなり糖尿


病になる病気です。一方、中高年に多い2型糖尿病は日本人の糖尿病


のほとんど(約95%)をしめ、インスリンの分泌量が低下しやすく糖尿


病になりやすい体質を持っている人に、食べ過ぎ、運動不足、肥満 、ス


トレス、加齢などのインスリンの作用を妨害するような引き金が加わっ


て発症します。


糖尿病の患者さんは太っておられる方が多いようですが..


 ええ、肥満 は糖尿病と深く関わっています。調査してみますと、2型糖


尿病患者さんの約2/3が現在肥満であるかあるいは過去に肥満を経験


しています。実際、肥満者ではインスリンの血糖低下作用が弱まってい


ることがわかっています。


肥満 するとどうしてインスリンの作用が弱くなるのですか?


 最近の研究から、脂肪を蓄積する細胞である脂肪細胞から、インスリ


ンの作用を妨害する遊離脂肪酸やTNFと呼ばれる物質などが分泌さ


れることがわかってきました。肥満し、脂肪細胞が増え、これらの妨害


物質が増えてくると、せっかく分泌されたインスリンがうまく働くことがで


きなくなり、血糖が上昇するようになります。


2 糖尿病の症状と合併症


糖尿病ではどのような症状が出ますか?


 糖尿病の症状としては、無症状のことも多いですが、高血糖によるの


どのかわき・多飲・多尿、また細胞のエネルギー不足による体のだる


さ・体重減少などがあらわれることもあります。

糖尿病ではどのような合併症(余病)がおきますか?


 糖尿病の三大合併症(余病) は、網膜症腎症神経障害 ですが


、このほか脳卒中心筋梗塞 などをおこす動脈硬化 も合併します。合


併症が進行すると網膜症(網膜は目の一番奥にありカメラでゆうとフィ


ルムにあたる重要な部分です)による視力障害・失明、腎症によるむく


み・尿毒症、神経障害による手足のシビレ・便秘・下痢・インポテンスな


どがあらわれます。ふつう糖尿病になってから5-6年で神経障害が


、7-10年で網膜症が、15年程度で腎症が出現します。また、糖尿病


の患者さんは動脈硬化 による脳卒中心筋梗塞 になりやすいことも


知られています。このように糖尿病は治療せずに放置すると大変恐ろ


しい病気ですが、しっかり治療し糖尿病状態を良好にコントロールすれ


ば、糖尿病でない人と同じ健康な生活がおくれます。

3 糖尿病の治療


糖尿病の治療の目標は?


 糖尿病治療の第一の目標は血糖値を正常に保ち(血糖値を良好にコ


ントロールする)合併症を予防することで、食前血糖80-120 mg/dl、


食後血糖100-160 mg/dl、グリコヘモグロビン(HbA1c)5.8%以下


程度と考えられます。血糖値を正常に近づければ近づけるほど、合併


症がでる心配が少なくなります。また、特にインスリン非依存型糖尿病


の患者さんでは、高血圧症脂質異常肥満 を合併しやすいので、


これらの治療も必要です。



具体的な治療方法は?


 糖尿病の治療の基本は 1)食事療法  2)運動療法 です。肥満 はイ


ンスリンの作用を妨害するので糖尿病にとっては大敵です。栄養素を


バランスよく取りながら標準体重を維持するため、食事療法 が必要で


す。また、弱まったインスリンの働きに合わせた食事の量にすることも


必要です。そうすれば、食物は体内でほぼ完全に利用され余分なブド


ウ糖が血液中にあふれでることはありません。



 ブドウ糖をよく利用する筋肉を増やし、インスリンの作用を妨害する脂


肪を減らす、また肥満 を是正するなどの利点がある運動療法 も糖尿


病の治療には重要なものです。中程度の全身運動(50歳代であれば


脈拍が1分間に110程度になるような運動)を毎日30分以上おこなう



と効果があります。

 1型糖尿病の患者さんは体内でインスリンがほとんど分泌されない


ので、インスリンを注射 で投与する必要があります。また、2型糖尿病


の患者さんでは、食事療法 および運動療法 で血糖値が十分に正常化


しない場合、飲み薬やインスリンの注射 が必要になります。


4 糖尿病の検査


 糖尿病のコントロール状態を知るため患者さん自身が、体重測定、尿


糖測定、場合によっては血糖測定をする必要があります。この他、定期


受診し血糖、検尿、グリコヘモグロビン(HbA1c)などの検査をします。


このうち、グリコヘモグロビン(HbA1c)では採血前の1ケ月間の平均


的な血糖の状態がわかります。この他、高脂血症やいろいろな合併症


に関する検査も定期的に受ける必要があります。


 糖尿病と診断されても恐ろしい合併症がすぐ起こるわけではありませ


ん。糖尿病を良好にコントロールすれば、健康な人と同じように長生き


をすることができます。いいかえると、あなたは糖尿病を持ちながら、普


通の人と同じように長い有意義な人生を送ることができるのです。で


は、これから一緒にがんばりましょう!



 日本糖尿病学会では、糖尿病に関する知識・経験の豊かな医師を試


験などで選抜し専門医として認定しています。糖尿病の治療に関して



は、このインターネット糖尿病教室だけでなく糖尿病専門医にもご相談


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