心臓神経症/神経循環無力症 | 回春堂漢方薬局 のブログ

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概説 心臓神経症は、「器質的な心臓の病気がないにもかかわらず、循環器症状を訴える神経症」です。原因としては、もともと神経質?神経症的な性格に加えて、身近な人の急死、心臓病の誤った知識、過労、ストレスなどの要因がきっかけとなって、「心臓病ではないか」という不安?恐れがぬぐいされなくなって起こると考えられています。
心臓は生死に直結する重要な器官ですので、ちょっとした動悸や胸部不快感も気になって不安になります。そして、その不安によって動悸?息切れなどの症状はさらに強くなり、このような悪循環によって発作を起こし救急車で搬送されることもあります。最近注目を集めているパニック障害とはかなり重複することがありますが、心臓神経症は「心臓病不安」がベースになっていることで区別します。循環器科では神経循環無力症(NCA)という病名を用いることがありますが、これは心臓神経症と同義語です。
症状[1]動悸、胸部不快感、胸痛、息切れ、めまいなど循環器症状を主とするのが特徴です。
[2]不安、緊張、焦燥(しょうそう)、神経過敏、不眠、抑うつなどの精神症状を伴います。
[3]ひどくなると「心臓病に違いない」と思い込んで、いつも胸に手をあてている人もいます。
[4]急に発作を起こして救急車で運ばれることもありますが、多くの場合、短時間で自然に治まります。

診断 欧米では「心臓神経症」の病名はあまり使われなくなっていますが、国際疾病分類第10版(ICD-10)では、身体表現性自律神経機能不全の心臓および心血管系の障害の中に分類されています。この病気の診断には、「循環器疾患がない」ことが前提ですから、循環器系の検査をきちんと受けておくことが大切です。心臓病がないにもかかわらず、上記のような症状がある場合に「心臓神経症」と診断することになります。心臓神経症の下位分類として、[1]不安神経症タイプ、[2]心気症タイプ、[3]強迫神経症タイプ、[4]ヒステリータイプ、[5]抑うつ神経症タイプの5型があります。

一般的な治療法 この病気は「心臓病不安」が原因ですから、プライマリケアの医師が心身両面から診断して適切に対処すれば、軽症のうちに治療することが可能です。
治療は、患者さんの話をよく聞き、検査結果をよく納得がいくように説明することが基本です。「心臓病に対する恐れ」がなくなれば、症状は自然に軽快していきます。また、身体症状をすぐに破局的な事態と考えてしまう思考(自動思考)により、不安?恐怖が増大し悪循環を形成する場合は、その認知の仕方を修正する認知療法が有効です。また、抗不安薬や自律訓練法などでリラックスできれば効果が上がります。
薬物療法としては、高力価の抗不安薬が有効で、頻脈を起こしやすい場合には、β遮断薬、抑うつ症状を伴う場合は抗うつ薬を併用します。

●標準治療例
[1]不安が強い場合
コンスタン(ソラナックス)1.2mg/日からはじめて2.4mgまで増量します。

[2]心気症状が強い場合
レキソタン3mg/日からはじめて6mgまで増量します。

[3]頻脈を訴える場合
抗不安薬に加えて、ロプレソール60mg/日を追加します。

[4]抑うつが強い場合
デプロメール25mg/日からはじめて150mgまで増量します。

生活上の注意 心臓病に対する誤った知識にまどわされ素人判断をするといけないので、かかりつけの家庭医によく相談して下さい。心理?社会的ストレス、過労、睡眠不足や生活リズムの乱れなどは、動悸、息切れ、胸痛などの循環器症状がでやすくなるので、日頃から健康管理に気をつけましょう。
by回春堂漢方薬局