1.発達凸凹がある子どもがネガティブな情報をため込みやすい理由

 

発達凸凹のあるお子さんは偏桃体の発達の遅れがあることがあります。

 

扁桃体とは「刺激の番人」と呼ばれ、あらゆる情報が扁桃体に送られて評価され、

感情が芽生え、ほかの脳部位に影響していきます。

 

「扁桃体」のジャッジが「触れてはいけない刺激」だと反応すると

「逃げろ!」という反応がおこり、身体症状を引き起こしたりもします。

 

心臓がどきどきしたり、鳥肌が立ったり、時にはパニックにつながることも

あるんです。

 

特に記憶に関係する「海馬」とも密接に連携しているため、

感情を伴う経験は記憶に残りやすく、

その経験を思い出すと、その記憶が呼び起こされ、

その時の感情がフラッシュバックしてきます。

 

特に人間のもともとの「扁桃体」の役割として、身を守るために

危険を察知する機能を担っていたため、ネガティブな情報が

記憶に残りやすいというのはごく当然のことなのです。

 

ですが、人一倍それが強い反応として出てくるのが

このような発達凸凹のお子さんなんです。

 

その中でも、特に記憶力のいいアスペルガーのお子さんや

記憶力・想像力ともに豊かなギフテッドのお子さんは

ネガティブな脳の反応が強いうえに記憶にも残りやすい状態です。

 

外の世界で失敗体験を積んで自信を失っていると特に

この傾向は強くなるんです。

 

 

2.ネガティブな情報をため込んで不安が強かった息子が恐怖心を克服した方法

 

我が家の中学3年の息子は、診断こそついていませんが、小さい頃から

感受性が強く、2歳のころには読んだ絵本で涙を流したり

ニュースの情報におびえたりしていました。

 

少し私がニュースの内容(子どもに話しても大丈夫だろうという内容)

を話しても、耳をふさぎ、怒り出すこともありました。

 

幼稚園入園してからは2カ月間、激しい登園拒否をしました。

 

外の世界への恐怖心はあったものの、小学校までは通いました。

 

こちらがいくら「大丈夫」と言っても安心にはつながらないようでした。

 

部屋には武器になるような棒を何本も忍ばせていましたし、

武器や武術の本を読み漁り、自分でメモをとったり熱心に

対策していました。

 

それはもう脳の反応なので、それを知ったうえで対応するしか

なかったのですが、当時はなぜこんなに恐怖心の強い子なのか

分からずにいました。

 

その後は自分であえて恐怖の対象の理解を深めるために

その事柄の事実を突き詰めるような本を読んだり

自分からその情報の挑んでいくような態度になりました。

 

いくらこちらがごまかしても、納得しないので

そうするしかなかったのだと思います。

 

それと同時にボクシングを習い始め、強くなることに

熱中し始めました。

 

今では、ボクシングで日本一になりたい、というほどに

めきめきと腕をあげています。

 

こうして、息子はだんだんと自信をつけ

恐怖の対象を理性的に理解しながら、

恐怖心を克服し今では

早く海外に1人で住みたいといえるまでに成長しました。

 

このように「外の世界に恐怖心を覚える」お子さんに対して

どのように対応したらいいのでしょうか?

 

3.ネガティブな感情を取り除くためのお家サポート!

 

ネガティブな脳の反応は和らげることができます。

 

まずは自己肯定感が大事。これがないとネガティブな

反応はおさまるところを知りません。

 

不安が不安を呼びどんどんネガティブな脳の反応が

強くなります。

 

まずは自信を回復して、心に余裕ができるからこそ

少し冷静に受け止めることができるし、

お母さんの助言をキャッチすることができるのです。

 

そのためにはスキンシップや肯定感が育つ声かけが大切です。

 

知能の高いタイプのお子さんにはわざとらしくならないように

ほめ方のバリエーションをいろいろ使いつつ、

さらに「完璧主義」を強めない声かけが必要です。

 

また、上手に行動を促して、

外の世界と「楽しい記憶」を結び付けてあげることで

外の世界への恐怖心を和らげることができます。

 

簡単にできるのは「散歩」

 

これはすでにネガティブな脳の反応への効果が証明されています。

 

散歩はセロトニン、ドーパミン、βエンドルフィンといった

ポジティブになる脳内ホルモンが増えることが分かっています。

 

またネガティブな脳の反応をきたすような

ストレスホルモンの分泌を抑えることで

扁桃体の過活動を抑えることも期待されます。

 

そのような反応に加え、一緒に歩く人との楽しい時間を経験すること、

肯定の声かけでポジティブな記憶にしてあげる

少しずつ外に出ることへの恐怖心は和らいでいきます。

 

また、お子さんの感情を育てることも大事です。

 

感情を生み出すのにもこの「扁桃体」は深くかかわっています。

 

ストレスに対して自分の気持ちに気付かなかったり思いを伝えることが

できないと、上手にストレスを感じたり人に伝えたりできません。

 

人に伝えることができたら、早めに対応できますし、

自分のネガティブな感情がたまる前に吐き出すことができます。

 

そうすると人からアドバイスをもらえたり、

気持ちの整理をしやすくなるんです。

 

そして、最後に必ず「あなたはどうしたいの?」と

聞いてあげてください。そうすると、お子さんの

脳が今度は思考系へとうつり、前頭前野で理性的に

考えるという部分を刺激してくれます。

 

前頭前野の脳の働きがよくなることで扁桃体の

暴走を抑えられるようになってきます。

 

このようにして、お子さんの恐怖心を和らげ、外の世界でたくさん

豊かな経験ができるようにおうちでサポートしてあげませんか?

 

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最後までお読みいただきありがとうございました。

発達科学コミュニケーション

大下真世