思春期・発達凸凹のお子さんで不登校になってから歯磨きをしなくなったというお子さんはいませんか?お子さんの実行機能がおちているせいかもしれません。しっかり対策して、歯磨きできるようにサポートしたいですよね?                 

 

目次

1.不登校の子どもが歯磨きしなく

          なるのは、なんで?

2.歯磨きしない子の心理!

3.歯磨きするようになるお家サポート!

 

1.不登校の子どもが歯磨きしなくなるのは、なんで?

 

思春期になって不登校に。そうすると今まで問題なくできていたことが、できなくなることがあります。

 

歯磨きもその一つ。歯磨きなんて、しないと気持ち悪いのは分かっているだろうに。そう思っていても、気がつけば、今までできていたはずの歯磨きをしなくなっていることって、あるんです!

 

それは、お子さんの実行機能が落ちているから。実行機能とは、目標のための計画を立て、目標を達成するために自分の行動や思考、気持ちを調整する脳機能のことです。

 

思春期のお子さんは一度この実行機能が落ちるといわれいています。実行機能が落ちて「やりたいことを優先する」わがままのような状態になるんです。

 

特に発達凸凹のお子さんの場合、様々な特性が絡んでますます実行機能を落としてしまいます。

 

例えば、自閉症スペクトラムのお子さんだと、こだわりの強さ、「いつも通り」を愛する柔軟性のなさから「企画(プランニング)」の部分で要領の悪いやり方を選んだり「評価と必要に応じた修正」の部分では非効率的なやり方にこだわって修正できないことがあります。

 

また他者へ気持ちが向きにくいので、特に不登校の間は身だしなみを整えることの意味を見出せないという気持ちにもなりがちです。

 

ADHDのお子さんの場合、一般的にワーキングメモリーが低い特徴があります。やるべきことを頭の中にとどめておくことや、先を見通して行動する部分がどうしても難しくなりがちです。

 

また、衝動性の高い人は「目的以外のことへの興味の排除」がうまくできず、結果として課題において本来の能力を発揮できないこともあります。実行機能において「抑制」ができないと目的とは関係ない刺激が目に入って思うように能力を発揮できないんです。

 

さらに、不登校になり、自己肯定感が下がっていると、ますますやる気が出てきません。家にいることの罪悪感家族から責められることでどんどん自信を失いがち。

 

 

やる気があってこそ、行動を起こしたり、切り替えたりができるのにこれでは到底行動は起きてきません。

 

では、歯磨きができない子どもはどんなふうに感じているのでしょう?

 

 

 

2.歯磨きしない子の心理!

 

実行機能の面で考えると、歯磨きには少なくとも4つの行程があります。

 

①まずは、いつするのか、どこでするのかというような歯磨きの計画を立て、段取りを考える

 

②そして、別の行動(例えば、ソファに座ってテレビを見ている)から、歯磨きモードに気持ちを切り替え、行動を開始する

 

③歯磨き中、ほかに注意が向くもの(例えば、テレビの続きが気になる)があっても、自分の目標である歯磨きに注意を向け続ける、あるいは一度テレビに向いた注意を歯磨きに切り替えるといった調整をする

 

④また、効率よく歯磨きをするためには過去に歯磨きをしたときの経験を思い出して適切に隅々まで磨くことも必要

 

このようにいくつもクリアしなければなりません。

 

ですので、お子さんは、まず歯磨きをするということを覚えておかなくてはいけないし、行動を切り替えて歯磨きをする行動に移らなければなりません。歯磨きを適切終えるために注意をそらすとなく適切に磨かなければならないのです。

 

ですので、その過程で

 

「歯磨きのことをすっかり忘れていた!」

「面倒くさいんな、外にも出ないし必要ないでしょ。」

「テレビをずっと見ていたいな。」

「テレビの続きが気になるな。」

「適当に磨けばいいでしょ。」

 

などの感情を抱くことになります。こういったことと闘いながら、歯磨きをすると考えると、気力の落ちたお子さんにとってはかなりハードルが高いのです!

 

とはいえ、衛生上、歯磨きはしてほしいもの。では、どのようにサポートしていけばいいのでしょう?

 

 

3.歯磨きするようになるお家サポート!

まずは、自信を失った状態を回復させることです。子どもの発達は、お家の人が作り出す環境に左右されます。

 

安心・安全な環境でしか発達はできないんです!

 

発達凸凹の特性に応じて、「すること」を見えるようにメモして貼っておいたり、「あと何分で時間だよ」と時間を予告したりすることは大事なことですが、その前にやっておくべきことがあります。それは…

 

◆肯定的な声かけ

 

まずは、肯定的声かけから始めてください。遠回りのようで、これが一番の近道です。

 

お子さんが、やる気を取りもどし、行動を切り替える気力を取りもどさないことには、歯磨きのみならず他のこともできないままになってしまいます。

 

お母さんが肯定的に声かけしていると、お子さんはどんどん自信を回復してきます。そうすると、やる気も一緒に回復できます。

 

◆3S(Smile,Sweet,Slow)で話す

 

これは大事なことです。会話がうまくいくかどうかは最初の一言でほぼ決まるといっても過言ではありません。

 

最初に「こら!」といわれるか、「ねえねえ」といって会話が始まるかでずいぶんとその先の会話のスムーズさは変わってきます。ですので、是非会話の際には、笑顔・優しく・ゆっくりを心掛けてください。

 

お子さんには、言葉そのものよりも先に、非言語情報の方が伝わります。つまり、声色、口調、表情などが先に伝わりその印象を脳が判断するんです。

 

ですので、同じことを伝えるのでも、「歯を磨きなさい!何度言ったらわかるの⁉」と話すよりも、「ねえねえ、歯磨きはいつするのかな?」と優しく話しかけたほうが断然お子さんの耳に届くということ。

 

お母さんに言うことに聞く耳をもてるかどうかは、お母さんの最初の話しかけ方次第。少しの工夫で届く会話をしてみませんか?

 

◆楽しい記憶と結びつける

 

行動を司る脳と、記憶を司る脳は仲良しなんです。ですので、いい記憶があれば行動に移しやすいということ。歯磨き=怒られるもの、にしてしまってはますます歯磨きから遠のきます。

 

ですので、最初は「ごほうび作戦」がいいでしょう。「●時に歯磨きできたら、ゲーム10分延長ね」とか、ポイント表を作ってポイントを加算していってたまったらごほうびでもいいでしょう。

 

このように、最初は「ごほうび」と結びつけて行動を促し、できたら「ほめる」ことを必ずして、成功体験として記憶に刷り込みます。

 

歯磨き=うれしいこと、とお子さんが認識できればこっちのものです。

 

こういった実行機能のトレーニングは、ほかのことにも応用できます。お掃除やお風呂などにも利用して、どうぞお子さんの行動力を引き出してあげてください。

 

行動すれば、脳は発達します。お家での成功体験で自信がつくとほかのことにも挑戦できるようになりますよ。

 

 

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最後までお読みくださりありがとうございました。

 

発達科学コミュニケーション

大下真世