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『おい、どうしたんだ。しまりのないやつだぜ』


『ひっひっ。口の中に何かはいって、ひっ、ひひひ~』


『なんだよお、どうせハチかなにかだろ。くっちまいな!』


ながまる顔のライオンにそう言われ、まる顔のライオンは、なんどもキバをならした。


[カッチン、カッチン、カッチン、カッチン]


『ダメだ、うごきまわる』


『もっとはやくキバをうごかせ!』


[カチッ、カチッ、カチッ、カチッ、]


『はぐきにへばりついた』


『つぶしちまえ!』


[カチカチ、カチカチ、カチカチ、カチカチ]


『あぁ、のどまではっていく』


『いきとめて、ちっそくさせろ!』


[カチ、カチ、うぅ~ん]


『あ~あ、キゼツしやがッたぜ。うっ、やべえ、こんどはオレの口の中にはいりやがった』


こうして、ライオン5頭(ごーとう)団は、次々にキゼツしていき、とうとうのこったのは四角い顔のライオン1頭だけになった。


四角い顔のライオンは、口の中に入っただんご虫を首を左右にふり続けて吐き出し、前足で踏みつけた。


『やるな、ちびのくせに。おまえはなにものだ?』


ライオンの前足の下から、はっきりと声が聞こえた。


『にほんのだんごむしだ。ときに、ライオンよ、こんなことできる?』


ライオンは、気になって前足をあげてみた。


その時、風がふいて、ライオンのたてがみが東から西に流れた。ライオンが風上へ振り向いた時、


『サイ・サイ・サイころん!』


宙に飛ばされながら気が遠くなりかけたライオンの耳に、最後にこの言葉が聞こえた。


サイとだんご虫は、帰りがけにキリンのところへ立ち寄った。


そうして、その日の夕方、だんご虫の先生は、真っ赤でまんまるい夕陽が沈むのを、キリンの頭の上から、好きなだけ、ながめることができたんだ。


それから3年後、


『こんなことできる?』


通りがかりのシマウマの前で、サイは、地面であお向けになり、ぎにゅうっと、大きな体をちぢめて、まるまった。


『きみにもできるよ。ほーら、こんなにまんまるい』


シマウマは、ゴクリとツバを飲みこんた。



〈完結〉


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★★★サイ・サイ・サイ・ころん! ★★★

★★★サイ・サイ・サイころん! 2 ★★★