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なんだか、お父さんと同じような口ぶりです。


『縄跳びは、集中力で、とぶんだ。足でとぶから足に引っかかっる。手でとぶと、タイミングが狂う。いいか、集中力でとぶんだ。で、坊主はいくつだ?』


『ぼうずじゃないけど、ごさい!』


『5歳は、坊主だ』


『ぼうずじゃなくて、ガンちゃん!』


『はっはっ。い~か?耳かっぽじってよーく聞きな。おまえは、前跳びが跳べるようになるまでずーっと坊主だ』


その日、ガンちゃんは、悔しくて日が暮れるまで練習しました。


ガンちゃんが、20回跳べるようになって、おじさんを見ると、


『坊主、まだまだ、練習が足りないぞ』


ガンちゃんが、40回跳べるようになると、


『坊主、40回で満足してるようじゃ、先が思いやられるわ』


ガンちゃんが、80回跳べるようになると、


『坊主、やればできるじゃないか? だが、男なら100回を越えないとな』


ガンちゃんは、日が暮れる頃、とうとう100回跳べました。


疲れて、よろよろと地面に座りこんだガンちゃんの姿を見ると、おじさんは、言いました。


『やったな、3丁目のガンちゃん、またな』


おじさんは、ガンちゃんがなわ跳びをしている間、鉄棒にかけてあったカウボーイぼうを手にとると、ガンちゃんの頭にのせて、行ってしまいました。


歩いて行くおじさんの野球ぼうの上に、桜の花びらがたくさん積もっていました。


次の体育の時間、ガンちゃんは高杉先生となわ跳び勝負をしました。


高杉先生が97回でなわを足に引っかけた時、子供たちの大歓声がとまりませんでした。


これほど誇らしげなガンちゃんの顔を見たのは、高杉先生もはじめてでした。


あれからガンちゃんは、耳かっぽじおじさんには、一度も会っていません。


ガンちゃんは、また会いたくて、毎週土曜日と日曜日には、谷中3丁目公園で遊びました。


1年後、ゴールデン・ウィークが過ぎ、夏が来ました。


ガンちゃんの通う幼稚園も長い夏休みに入りました。


ガンちゃんの家は、谷中3丁目公園の隣のマンションの1階にありました。


だから気軽に隣の公園へ遊びに行けました。


夏休みの谷中3丁目公園では、子供たちはドッチボールに夢中でした。


ガンちゃんは、外野から思いっきりボールを投げます。



〈続く〉


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★★★3丁目のガンちゃんがいく★★★

★★★3丁目のガンちゃんがいく その3★★★