やがて、スノットさんが気がついた時には、街の中の歩道の上に立っていました。


『あぁ、雪の街に着いたのですね』


スノットさんは、そう言うと、肩に積もった雪をひと払いし、歩き出しました。


街の大通りに出ると、たくさんのこおり小人たちがとうめいなトンガリぼうしをかぶって歩いていました。


『やぁ、また世話になるよ』


スノットさんが誰となく声をかけると、こおり小人たちみんながいっせいに振り向き、


『素晴らしき雪の街へようこそ、スノットさん!』


と言って、またゾロゾロと忙しそうに歩いて行きました。


スノットさんは、大通りをずんずん歩き続けて、街の中心にある噴水公園の前まで来ました。


公園の入口から噴水を眺めると、噴水の先は上空をつらぬいて、はるか宇宙までのびているようでした。


『どうですか、星たちの調子は?命が宿り、空気が生まれそうな星はでましたか?』


『いえいえ、まだまだですよスノットさん。いろんな星たちに、ここから水の栄養を飛ばしてはいますが、まったく反応はないんです』


噴水の中で暮らしている氷シャケはそう言うと、飛びはねながら、噴水をどこまでもさかのぼって、宇宙まで泳いで行ってしまいました。


スノットさんは、公園の入り口まで引き返すと、そのまままっすぐ道路を横切って、古びた氷の建物の中に入って行きました。


見かけはギリシャ神話に登場するパルテノン神殿にそっくりな建物でしたが、ここは雪の街になくてはならない銀行でした。よわい1000年以上たった氷柱や氷壁でできています。


『スノットさんお帰りなさい』


銀行の門前にいるガードマンが気さくに微笑んで、帽子を取りました。


『ゴールドマン君はきているかね』


『ええ、30分ほど前に』


スノットさんはこおりの扉に手をかけて、いきおいよく開けました。


銀行の窓口には行列ができていました。


せんとうは、魚の飛び魚です。


それから、カマキリにホタル、ネコにマントヒヒ、クジラに、コウモリ、クモに馬とロバ、アシカ、アザラシ、キリンにサイ、クマにチョウチョウとマグロにワニ、てんとう虫にカバにトナカイ……


と、雪の街一広い銀行のロビーが、こおり蟻(アリ)のねぐらのようにせまく感じます。



〈続く〉