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「うあぁ」
光司も思わず声をあげました。
そこには、宙に浮かんで眠っているガネーシャ君の姿がありました。
落ちついて、よく見てみると、ガネーシャ君は、天井に鼻の先を吸い付かせて、ロープのように上から鼻をたらして、宙づりになって眠っています。
「すごい、こんなのはじめて!」
乙女のようにメガネの奥の目をうるませて、真人は、ゆっくりと腰をもちあげました。
「みのむしみたいな、ねかただ」
琢磨も、立ち上がって、ガネーシャ君のそばに近寄りました。
「と、とにかくプレゼントだ」
眠っているガネーシャ君の下に、三人はプレゼントを置きました。
「そうだ……めりぃくりすますって、おおきな声でさけんで、にげようか……」
光司がささやくような声で、細い目をさらに細めてそう言いました。
真人と琢磨もうなずいて、うっしっしと笑いました。
「いくぞぅ。せ~のぉ」
光司が、かけ声をかけたその時でした。
どこからか、鈴の音が聞こえてきました。
サン サム
シャン シャム
そして、とつぜん窓が開いたかとおもうと、強い風が部屋の中を吹き抜けました。
風がやむと、無数のロウソクをともしたように、部屋の中が明るくなりました。
そして、カーテンが、ふわりと舞いあがりました。
おどろくひまも、ありませんでした。ただ、ただ、魔法のような出来事に三人は、口をポカンとあけるばかりでした。
目の前に、長くて白い口ひげをはやした、大きなゾウの顔がぬっと、現れました。
そして、次には、お腹がポッコリふくらんだ、銀色の体も出てきました。
まるで、ガネーシャ君が大人になったような感じです。
そして、ひと鳴き。
「ぱぉ~ん」
その声で、ガネーシャ君も目をさました。
「メリークリスマス、ガネーシャ。はい、プレゼントだよ」
大人のガネーシャ君みたいな人は、ポッコリしたお腹でのっしのっしと、ガネーシャ君の前まで歩いてくると、小さな太鼓をガネーシャ君の下におきました。
銀色に輝くタイコです。
ガネーシャ君は、天井にすいついた鼻をはずして、下に降り、タイコを手にしました。
いつの間にか、白ひげをはやした大人のガネーシャ君みたいな人は、消えていました。
イジメン隊も、そのすきに、ドタバタと階段をかけおりました。
こうしてクリスマスイブの夜は、過ぎていきました。
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