また、こんなことがありました。


その日の午後は、英語の勉強の時間です。


たんぽぽ組にも外国人の先生がやってきました。


「ハロー」


頭がつるつるな男の先生は、日本語をつかいません。


先生は、よく子供たちの名前を呼んで、むずかしい質問をしました。


「へい!ももこ、すたんだっぷ」


「わっちゅあ、ねいむ?」


先生は、ネクタイをいじくりながら、ももこちゃんにききました。


ももこちゃんは、まゆげのこい、おかっぱ頭の女の子。うつむいて、下をむいています。


先生は、ももこちゃん肩に手をおいて、ももこちゃんの顔をのぞきこんで、こういいました。


「ももこ、ゆーせい、かもぉん。わっちゅあねいむ?」


先生の目が、おおきくみひらかれているのをみると、ももこちゃんは、なんだかこわくなって、泣いてしまいました。


その時でした。
となりにすわっていたガネーシャ君が、鼻をひょろりとのばして、先生をすいこんだのです。


みんなはびっくり。先生の悲鳴が教室中にこだましました。


それを聞いた園長先生が、あわてふためいて、かけつけました。


その日、ガネーシャ君は、人は絶対に吸いこまないと、園長先生とゆびきりげんまんしました。


英語の先生は、すぐにガネーシャ君の鼻から、しゅるりとはきだされました。


不思議なことに英語の先生は、なんともなかったような顔をして、鼻から出てくると、英語の授業をはじめました。


子供たちは、先生の頭をじっと、見ています。


光るくらいにつるつるした先生の頭に、茶色いふさふさした髪の毛がはえていたからです。



〈続く〉