向こうの山に小さく見える

茅葺きの小屋から煙が立ちのぼる

山道を人は小さくにじんで

牛といっしょに帰ってゆく

村中のトタン屋根から

夕げの煙が雲と湧く

そうして村ごと雲の原

どこかの屋根の上から

しきりにする縞(しま)シャツの猫の足音

バナナの木の下の洗濯物のひとむれも

活発に 魚のようにはねている

つぶら影絵に扇をひらき

夕焼けを渡る鳥のひと群れもある

はるかに浮かぶ山陵は

もう透明な眠りの中にいる

……おまえは もう 紫紺の柔らかな霞に抱かれて眠れ……


村の空はパレット

絵の具のチューブは全部

バナナのむいた皮のよう

山は静かにねんごろに

山の世界のコーランを読む