みさかいなく、何でもいいから種々と書けでもしたら、どんなにいいだろう、と私は今夜も一人机に向かいながら、そう思い耽っている。

私にとって詩とは? それほどお前が裸身で愛し続けてきた、つまりはお前をそんなに盲目的にさせているものの正体とは、いったい何だろうか。――


私は考え疲れでもしたかのように、少し目を閉じた。

そうしているとまぶたの内に、昼間目にしたところの空一面に浮かんだ羊毛雲が、だんだんと鮮やかに蘇ってくる。

それと同時に、私はある人物のことを、自分でも知らぬ間に種々と想像し出していた。……

私は昼間、何とはなしに出かけて行った散歩からの帰り道に、林の中で白髪を美しく棚引かせた樵(きこり)の爺やさんからその人物のことをひょっくり聞かされたのだった。

「薔薇医師(ドクターローズ)……と仰るんですか? 」

「はい、村の者皆してそう呼んでおりました」

樵の爺やさんは切り株に腰を下ろしたまま、パイプを片手に、それこそこれが最上の喜びであると言いたそうな顔つきで、プカプカとやりだした。



※あの時の旅シリーズ~アフリカ・マラウェイ、リビングストン村にて~
〈続く〉