【森の中へ】









「お前のしたことは許さぬぞ、ジョルディール。

お前はカバをだました。そして、ワシを裏切った。

もう友達なんかじゃない。

お前はこの土地から出て行くんだ。二度と戻ってきてはならぬ。

百獣の王の名にかけて、お前を追放する!」





ライオンはジョルディールのシッポを踏みつけたまま、そう言うと、満月に向かって、遠く吼(ほ)えました。





そして、高らかに跳躍すると、勇ましい足音と共に、月明かりの向こうに、消えて行きました。





残されたジョルディールは、とぼとぼと、サバンナを引き返しはじめました。





もう、この沼では、暮らせなくなってしまったのです。





夜が明ける前に、ここから離れて、できるだけ遠くへ行かなければなりません。



ライオンに見つかったら、きっと、食べられてしまうでしょう。





ジョルディールは、東に向かって、どこまでも、ずんずん行きました。





夜が明ける頃、ジョルディールは、とうとうサバンナの東のはずれに着きました。





そこから東へは、果てのない深い森が続いています。





そして、森の奥深くには、真っ白な雪をかぶった大きな山があり、その山の頂きが、雲の中まで、伸びていました。





ジョルディールは、森の中へ、入って行きました。





辺り一面には、見知らない背の高い草が生えていて、ジョルディールの鼻を、しきりにくすぐります。





ジョルディールは、こらえきれずに、思わず、





「ジョルディ~ル」



と、鳴きました。





すると、突然、頭の上を覆う、木の枝が揺れ出しました。





ジョルディールが見上げて見ると、三匹の猿たちが枝にぶらさがって、体を揺らしています。



「なんだ、コイツは」



「何しに来たんだ」

「危険だよ。早く追い出そう!」



猿たちは、しきりに声をあげます。





「待って、僕はジョルディール。僕は住めそうな沼を探しているだけなんだ。決して、危険なんかじゃないよ。この声に誓って」





「ジョルディール。ジョルディール」





それを聞くと、猿たちは、不思議と信じてみようという気持ちになりました。





木の上で、何やら相談が始まりました。



ジョルディールが、三匹目のハチを口にくわえて飲み込んだ時、木の上からサルの声が聞こえました。



「ジョルディール。この森は、果てしなく深いよ。このまま行けば、たちまち迷ってしまう。だから、森の精キリマに会うといいよ」



〈続く〉




★★★ワニのジョルディール6★★★