たった五日間だけど、三人で過ごした日々は、優吾の中で、忘れがたいものとなった。


【7章-4 待ち合わせは マクドナルドで 】




夜も更けた頃、上野公園前にあるマクドナルドの店内の下ろされたシャッターには、無数の怪しい影が写っていた。

今し方、一、二階の店内は、照明が消された。

三階だけが、明かりがついている。

「メンテナンスのバイトの人間はどうしたかな? 」

長老のアイアイがゴリラの方を向いて尋ねる。

すると、ゴリラは頷(うなず)きながら、非常口の方を指さした。

「なあに、キングコングのパンチ、炸裂! てなところです。あっちの部屋でのびてますよ」

ゴリラの隣に座っていたケープペンギンが、面白可笑しそうに手をパタつかせる。

このペンギンは、キングコングとゴリラの区別がつかない。

キングコングと言われたゴリラは、何か言いたそうな顔でペンギンの方を見る。

「手荒な真似はしなかったろうね」

長老が尋ねると、ゴリラはコクリとうなずいてみせる。

ゴリラの後ろでは、トラやライオンが置いてある椅子の足を次々に口にくわえて、部屋の隅に放り投げている。

その度にものすごく大きな音がして、ケープペンギンの身体はビクッとなる。

今日はシロクマも来ている。

トラたちの隣では、シロクマがテーブルをつかんでは部屋の隅に積み上げていく。

やがて、三階の店内の中央には、広々としたスペースができた。

そこへアニマルランドの幹部連一堂が、順々に腰を下ろして車座になっていく。

長老のアイアイ、ゴリラ、トラ、ライオン、ケープペンギン、シロクマ、ジャイアントパンダ、それから今夜はカンガルーも来ている。

ふいに、どこからともなく白フクロウが飛んできて、ゴリラの肩にとまる。

「ふうっ。間に合ったですな。みなさんおそろいで」

白フクロウは一息つくと、ぐるりとみんなの顔を見回す。

そして、気がついたように言った。

「はて、今夜もリクガメのじいさんの姿が見えませんな」

その時、どこからともなく声が上がった。

「わしゃあ、ここにいるぞい! 」

白フクロウをはじめとしたみんなが、辺りを見回しても、リクガメの姿は見つからない。

「どっちを見ているのだ。ここだよ。ここ」



〈続く〉
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