【イシガキ竜宮ウミウシ現れる】



★「おしゃれ」「お母さん」→マンモス白珊瑚の森に住む。おしゃれ金平糖ウミウシ。

★「いちご」→船形石珊瑚に住む「おしゃれ」の心友。いちごジャムウミウシ。

★「風船ウミウシ」→体を丸めて転がって移動する珍しい種族。「妹」が出会った「浦島太郎」は、実は玉手箱を開けて風船ウミウシに変身した元人間だった。

★「ターコイズブルーウミウシ」→おしゃれ金平糖ウミウシの恋のお相手。背中の突起したイボイボの先端を発光させる発光性のウミウシ。

★「イシガキ竜宮ウミウシ」→ウミウシながらにウミウシが大好物。皆から恐れられている。

★「兄」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの長男。青くて大きめの魚。過度の心配性の特徴あり。

★「妹」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの末っ子。オレンジ色の小さな魚。しっかり者の性分。


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Y字型の白い珊瑚の根元に丸まり、二本の触角を涼しそうに海面に真っ直ぐにのばして、背から輝きを放っている。

「妹」は、しばらく、みとれてしまった。

彼の体のイボイボから発する輝きに近づけば近づくほど、ウロコに染み込んでくる喜びが大きかったのだ。

その時、一瞬、なぜだろう? 「妹」の頭の中に素晴らしいという想いと同時に、不安がよぎった。

彼の背から発する輝きが素晴らしくあるほど、彼の生命をもろく感じてしまうのだ。

こんなことは思いたくなかったけど、まるで彼の魅力そのものが、彼の存在を失わせるためにあるような気がしてくる。

そんなことを頭にめぐらせながら、ツーッと彼のそばに近づいて行きかけた時、思いがけないものが、彼の後ろからヌッと現れ出た。

それはあっと言う間に、彼の背の上に覆(おお)いかぶさった。

「妹」はその場で、もう驚きようもなく、ただ呆然としてしまった。

こんなに早く彼の生命を脅かすものが現れようとは、うすうす予感をしていた「妹」にとっても、思いがけないことだった。

今まさに、彼の背から、彼の輝きが奪い去られようとしている。

そのいでたちは、忘れもしない。



〈続く〉