【ふに落ちないこと】


★「おしゃれ」「お母さん」→マンモス白珊瑚の森に住む。おしゃれ金平糖ウミウシ。

★「いちご」→船形石珊瑚に住む「おしゃれ」の心友。いちごジャムウミウシ。

★「兄」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの長男。青くて大きめの魚。過度の心配性の特徴あり。

★「妹」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの末っ子。オレンジ色の小さな魚。しっかり者の性分。



《星の船》は、光に満ち、輝くばかりだった。

幾重にもおよぶ立体の光の球が、《星の船》を包んでいる。

それは外側にいくほど大きく眩しく、均一に広がっている。

「何ということだろう」

「兄」はそう繰り返し叫んだ。

「妹」は、《星の船》の上から、自分たちを包んでいる円い光のシルエットを食い入るように見続けた。

驚いたことに、いつの間にか二匹の前に「いちご」が起き上がっていた。

「ずいぶん驚かせてしまったようね。船はもう動くわ。あなたたちや「おしゃれ」の意思通りにね。わたしの意思では動かないの。わたしは、動かすきっかけを与えることができるだけなのよ。もちろんあなたたち以外の他の海の生き物たちでも、この船は動かせるわ。この船はみんなに平等にできているの。そして、動かすものの行きたい所へどこまでも行ける力があるのよ」

「いちご」は、驚いている二匹に、そう静かに話した。

二匹は、不思議そうな顔をして、「いちご」を見ていたが、ふいに「妹」が口を切った。

「でも不思議ね。いちごさん、なぜこの船は、水の中に浮かんだり、移動することができるのでしょう」

「妹」にはどうしてもそのことが、ふに落ちなかった。

ふに落ちないこと。それは昔から「妹」には、放ってはおけないことなのだ。

海の世界には、なぜこのように沢山の、ふに落ちないことがあるのだろう。

ふに落ちない事柄や現象に対して、「妹」は厳しく問い詰める。

その矛先は、よく「おしゃれ」に向けられた。

「お母さん、ウミウシと魚は、どうして結婚しないのでしょう」

「どうして飛び魚だけが、あんなに長く空気の中を泳げるのでしょう」

「ヒトデのカッコは、みんなが星にそっくりだっていうけど、あんなに高い所にある星の姿がヒトデにそっくりだなんて、どうやったら分かるのでしょう」



〈続く〉