【イシガキ竜宮ウミウシ現れる】


★「おしゃれ」「お母さん」→マンモス白珊瑚の森に住む、星形のウミウシ。おしゃれ金平糖ウミウシ

★「イシガキ竜宮ウミウシ」→ウミウシ仲間から恐れられている共食いする怖いウミウシ。

★「兄」→マンモス白珊瑚の森に住む青くて大きめの魚

★「妹」→マンモス白珊瑚の森に住むオレンジ色の小さな魚


ついこの間、こんなことがあった。

白々と月明かりが差し込む夜、マンモス白珊瑚の森が、恐怖につつまれた。

そう、イシガキ竜宮ウミウシが森の中に、入ってきたのだ。

イシガキ竜宮ウミウシは、お腹がすいていようものなら、同じウミウシの仲間を、ところかまわず丸飲みにしてしまうことで有名だった。


「兄」や「妹」をはじめとした14匹の魚たちは、いち早く「お母さん」に知らせ、白珊瑚の森から、そっと非難させた。

マンモス白珊瑚の森の裏には、長い岩礁にはさまれた、回廊のような一本砂の道が通っている。

そこを抜けると、透明な海水を透かして、遥か遠くに渦を巻き流れる潮流を遠目で見ることができる、広々とした海の世界が広がっている。

回遊魚のマグロやシマアジ。

まるで流れ星が海水の中を流れていくように、発光して光るホタルイカの群。

飛び魚やイルカ。

そして、潮流の向こうには、巨大なマッコウクジラの群が霞んで見える。

おしゃれ金平糖ウミウシは、一本の砂の道をゆっくりゆっくりと移動していく。

白珊瑚の森に住む魚たちは、「おしゃれ」を囲むように頭上や海底を泳いでいる。

「お母さん、さあ、がんばろう」

「お母さん、今夜は月がよく見えますよ。散歩にはもってこいです」

魚たちは、口々に、「おしゃれ」を励ました。

「おしゃれ」は、目の前に寝そべっているヒトデを乗り越えようとして、ヒトデの上をそっとぬたって行ったのはいいが、かえってヒトデの方でくすぐったがって身をよじらせたので、お互いにもつれ合ってしまった。

そんな時は、魚たちが口をそっと「おしゃれ」に近づけて、体勢を直すのを助けてくれる。



〈続く〉