この都立病院の食事はよく出来ていた。栄養バランスが考えられているのはもちろんだが,いろいろ変化のある,凝ったメニューのものが出されていた。患者さんたちはまずまず満足されていたのではないかと思う。

ただし私には良くなかった。疎開先から戻った中学3年生から大学が終わるまで,私は一度も弁当を持って行ったことはない。それは,私はアツアツの食事ではないとダメな方だからである。

内科の病室は幾つもあり,患者さんが多かった。私の病室は一番奥だった。配膳に時間がかかり私の所に食事が届くまでには結構時間がかかった。食事は大分冷めてしまっていた。うどんは最悪だった。冷めた汁にうどんはゴム紐を食べているような感じだった。

果物(例えば枇杷)はいつも一般に売り出されるよりも早く出されていたようである。お見舞客が,もうそんなもの食べているのと驚いていたことが,何回かあったことが思い出される。