身体が一瞬自由にならなくなる。頭の中が真っ白になるということを初めて経験したのは、ある法律事務所のアルバイトをしていたときでした。


家庭内でも、学校でも途轍もない衝撃がいきなり襲ってきたということはあまりなかったので、その事務所の所長さんから雷を落とされた時は心底ビビった。小便ちびりそうになるというやつである。この人は戦後まで国内で憲兵隊をしていた人で、それこそ民間人などを殺したり、拷問したりということももしかして手がけていた人かもしれないから、気に入らないことに対して爆発することは日常茶飯事だったのでしょう。


あの細身の小さい身体でどうやってあんな怒号が出るのか不思議だった。戦争を経験した人は違うなあと、半ば恐怖と隣り合わせで仕事していたものです。現在の風潮では実際にも映像でもあんな凄い目にあったことは見たことがない。


最近では仕事場で怒鳴る人もたまにはいるが、一瞬思考停止くらいです。そもそも声を荒げること自体が、もう世の中の風潮では国内では論外ということですね。


僕がこのところ図々しくなってきたのも、感情の振れ幅が極端に大きい人とあまり関わりを持っていないということもあります。