父から逃げるように走り、
隠れるように細い路地へ入った。

家へ帰りたくない。
とは言っても、行くあてはない。

何時間経ったのだろう。
周囲が暗くなってきた。

仕方ない。今日は、帰ることにした。

腫らした目を隠し、家に着くなり
体調が悪いと母へ告げ、
勉強部屋に駆け込んだ。

母が心配して、部屋を覗きにきてくれるかも。
私は、期待していたのだ。


リビングから聞こえる談笑する家族の声に、
そんな期待も削り落ちていった。
私がいなくても気にならないんだ。。

今では思う。
この時の私は甘かったと。
両親なら受け止めてくれるとか、
体調が悪い時は看病してくれるとか。
そして、勝手に傷ついていた。
ただ気にして欲しかったが、
それはとても贅沢な欲望なのだ。

明日どうしよう。
自分の居場所なんか
探したところで、どこにもない。

なぜ私は、いるんだろう。

お風呂に入るために、
リビングの近くを通り過ぎると、
母に会ってしまった。

空腹だった私はお腹がなったが、
食欲はなかった。
私のお腹の後を聞いて、母は、
「ふっ。残念な子」と苦笑いで言った。

残念な子?
父が母に、学校のことを言ったのか?
残念な子?私の事、、、なんだよね。

私は、聞こえなかったふりをして
小走りで通り過ぎ、
お風呂へ行き、強く強く
自分の体が赤くなるまで洗った。
ヒリヒリ、少し出血もあったが、
なぜだかスッキリした。

部屋へ戻り、明日からどうしようか
ずっと考えた。

行き詰まった気持ちが、苦しかった。