シャーロット王女の誕生 | イイケン先生かく語りき

シャーロット王女の誕生

イギリス王室は4日、ウィリアム王子と妻キャサリン妃との間に生まれた第2子の王女の名前が

シャーロット・エリザベス・ダイアナ」に決まったと発表した。

シャーロット王女誕生の経済効果はケーキ、プロセッコ、マグカップ、プレート、Tシャツの売上など、すでに8千万ポンド(約145億6千万円)10歳になるまでに10億ポンド(約1,820億円)の経済効果があると予想されているとのこと、他国のこととはいえ、微笑ましい、嬉しいニュースである。

イギリス王室も、日本の皇室と似ており、特に親しみを感じる人が多いと思う。

しかしその実態は大きく異なっている。今回は単なる、薀蓄コラムである。

 

日本の皇室は、儀礼的な国事行為のみを行う存在であり政治、国防には関与しない象徴である。

憲法88によってほとんど資産を保有できず、公務以外で稼ぐことができない。

職業選択や宗教の自由は認められていない。

天皇家と皇太子家の生活費は税金(内廷費)で賄(まかな)われており、その額は年32,400万円。宮中祭祀(きゅうちゅうさいし)に携わる職員の人件費などでほとんど残らない。
皇族維持に関するそれ以外の費用、宮廷費(皇室の公的活動)557,996万円、皇族費(皇族17名)2億9,128万円、更に宮内庁の人件費や事務費などを賄う宮内庁費(1082,772万円)まで含んで年間約170億円である。

 

イギリスの国王は、時に称号がkingあるいはqueenであれ、立憲君主制国家の元首であり、「国王は君臨すれども統治せず」とあるが、時として政治的な権力が存在し、イギリス軍の長でもある。

王室は世界でも有数の資産家であり、国に税金を収めている。また王族の職種はある程度自由であり、「王室ビジネス」ができる点日本とは大きく違う。

日本の銀座に相当するロンドン中心部のリージェントストリートもイギリス王室の所有地で、ストリート沿いの店舗からのテナント料が1軒当り6,500万円×店舗数約10,000軒の収入がある。

イギリス本国の海岸線の土地55%が王室の所有地であり、風力発電会社に貸し出しをしている。

イギリス王室は、民間企業に王室御用達許可とは別に、王室ブランドとして王族自身が商品開発し年間収入100億円以上の「ブランド使用料」を稼いでいる。
また、ロンドン塔の王冠などの財宝の観覧入場料を徴収し年間250万人の入場者で売上30億円、バッキンガム宮殿の観覧入場料は売上32億円、ウィンザー城なども王室不在時に観覧入場の収入が有り、日本の京都御所の一般公開が無料である点と大きく違っている。
これら王室領の不動産の地代やテナント料など推定総資産9,000億円、そこから上がる収入は、莫大なもので、イギリス最大の領主=大地主様に違いない。

所得税を納めているが、所有する財産、領地は個人的なものではなく、国王や皇太子の地位に付属するので、相続税はかからない。
2012年まで国会承認で王室費(内訳=スタッフの制服の一部支出、スタッフの給与、宮殿等維持費)が支払われていたが、2013年からは中止されたのも、何となく頷(うなず)ける。

 

平然と貴族制度が存在するイギリスは、格差に対する価値観が日本とは違い、国王家が最大の領主であることを、国民の誇りにしているようだ。
つまり、イギリス王室は国内最高のビジネスマンであり、そして最良のエンターテイナーである事を、国民が望んでいるのかもしれない。

かつては世界でも有数の資産家だったが、戦後にその殆どの資産が国庫へと譲渡され、以後は特定勢力に利用されないよう国税で慎ましく暮らしている日本の皇室。

どちらがいいか…の判断はお任せするが、そう単純には、比較できないかもしれない。