美味い酒もまずくなる!
仕事上の会議でも、終わった後の居酒屋でも、「彼がいると、どうも会話が止まってしまう」…せっかくの酒がまずくなる、身近に必ずそんなタイプがいるはずだ。
往々にしてそのタイプの人間は、「会話がキャッチボールである事」、その基本原則が分っていない。
彼らには申し訳ないが、彼らの特色のいくつかを「ネタ」にして、自らを顧みてみよう。
会話が総じて「否定的」で「断定的」になりがちである。
「~できっこない」と否定的な言い方を多用し、それを一方的に押し付けてくる。
「~すればできる」という肯定的な表現を工夫しようとしない。
否定は、相手の心に壁を作ってしまう。
そのため、まずは自分の気持ちはおいて、相手の気持ちになった言葉を言ってみることである。
相手の意見に反対の場合、彼らはいきなり反論から会話が始まる。
「それは違う…」と言い切られたら、後が続かず、会話にならない。
意見としてどうしても異論がある場合は、「なるほどあなたの言うことも分かります、しかし…」と一旦は相手を受け入れた後で反対意見を述べる。
角を立てない、相手に対する配慮である。
これをコミュニケーション術では「イエスバット法」と言っているが、彼らはそれを理解しない。
他の人が話しをしている中へ、突然土足で入り込み、前後脈絡を無視して自分の話を展開する。
誰もそんな話聞きたいとは思っていないが、本人はつい自慢したくなるようで、いわゆる「癖」が悪い。
会話はコミュニケーションの最たる手段だ。自分の言い分を一方的に話すことは、会話ではない。
キャッチボールである所以(ゆえん)がここにあり、いわゆる「話し上手は聞き上手」と言われる原理原則である。
彼らはそんなことお構いなし、どうしても言いたいことを言う「悪癖」から、結果いつも傍若無人に振る舞ってしまう。
益々お酒がまずくなる。
目の前にいる人が「不快」に思っていることに、一向に気が付かない。
逆に相手を思い遣る仕草やしゃべり方を、知らないから当然かもしれない。
時にして、相手の言った言葉を、言い回しを変えて繰り返す。
相手の直前の語尾をそのまま使う等すれば、相手は自分の言ったことを理解してくれていると感じる。この手法を「バックトラッキング」と言い、仕草を真似ることを「ミラーリング」と呼んでいるが、彼らには無縁である。
話によっては緩急をつけたり、話題に合わせた声のトーンを心がけることを一切しない。
「目は口ほどにものを言う」、相手の目が発する情報は思っている以上に大きいはずだ。
相手を正面から見て、目を伏せない、目を細めない、けれどじっと見つめすぎないは基本動作。
生身の相手と向き合ってこそface
to face、ライブ・コミュニケーションの絶好の機会なのに、悲しいかなスマホから目を離さない。
「お前、誰と話してるんだ!」と怒り輝く相手の目を見ようとしない。
チャンスを自ら逸してしまっている。
きっと、あなたの身近に、こんな「酒をまずくする人」がいるだろう。
いや、身に覚えがあるとすれば、あなた自身、私自身がその予備軍になっているかもしれない、反省の弁でもあった。