■台湾でモデルYに乗った

台湾に出稼ぎに行った際に、テスラモデルYのデュアルモーター仕様の運転と後席に乗る機会があったのでインプレ書いてみたいと思います。

とは言え、全ての機能を試したわけではありません。

動的性能(ハンドリング、乗り心地、ノイズ)主体のインプレとなります。

使用領域は停止、低速〜120km/h程度まで、横Gはスタビリティコントロールが介入する程度までです。

(もちろん、スタビリティコントロールが介入するような走りは、それが可能な場所でしかやっていません。)

 

◾️限界は高いが凡庸なハンドリング

限界は比較的高く、挙動も安定しています。

スタビリティコントロールの介入は早めで、何も起こらない安全志向です。

ステアリングの重さは一番軽くしても重めで、もう少し軽い方がいいかと。

ステアフィールは特徴がなく可もなく不可もなくです。(すいません、印象に残らないほど普通です。)

安定していて、それ自体はいいことですが、残念ながらつまらない。

運転の楽しさで言えば、ジジイのシトロエンの方がずっと楽しいハンドリング性能です。

(シトロエンが不安定だから楽しいのではありません。)

ジジイがハンドリングで感じる楽しさとは、端的に言えば「意のままフィール」でしょうか。

モデルYやカイエンにはあまりなく、C5エアクロスや911、718GT4、パナメーラ4S、マカン、シビックタイプRにはあるものです。

 

◾️耐え難い乗り心地

端的に言ってひどいです。

モデルYはおそらくGLCやX3、Q5あたりと同じDセグメントだと思いますが、乗り心地はどの車よりも悪く、もちろんC5エアクロスの比ではなく、Bセグメント(ヤリス、フィットクラス)相当です。

特に後席は、シートクッションが硬めな上に、シートバックのクッションがほぼゼロで、路面のザラザラを直接伝えてきて耐え難いレベルです。

後席だけで言ったらBセグメントにも劣ると思います。

 

乗り心地は以前乗ったモデルSはエアサス装備のため良かったのですが、モデルYはなぜこんなレベルになってしまったのでしょうか?

普通にやっても低重心で重量があるためもっとマシな乗り心地にできたはずです。

 

◾️静かな車内と高いボディ剛性

その代わり車内は静かです。

モーター音はよく遮断され、ロードノイズも静かです。

リアゲートを持つ開口部の大きなボディにも関わらず、ボディ剛性は非常に高く感じます。

それだけに乗り心地の悪さがつくづく惜しい。

 

◾️その他気になる点

Aピラーが極太で死角がめっちゃ大きいです。

また直射日光が当たるとダッシュボードの反射でドアミラーがほとんど見えなくなり後方確認が困難になります。

 

後席では、前席下に足先を入れられるのは良いのですが、入れると脛が前席シートバック下端の硬いプラスティックに当たり痛いです。 ただし、これはジジイの高い身長のせいかもしれません。

 

ドアハンドルは電動かと思ったら手動で、いったん押してレバーを引き出してから引いて開けるという使いにくさ。

そうまでしてフラッシュサーフェイスにしなきゃいけないのでしょうか?

まあ、モデルSみたいに電動ドアノブが故障して開けられなくなるよりはマシですけど。

 

操作系をほとんど中央のディスプレイに集約してしまっているのは、普通のお客さんには目新しく、スマホみたいで革新的なように映るかもしれませんが、操作に時間がかかり、ブラインドタッチが難しいため従来の操作系には安全という観点では確実に劣ると思います。

では優れている点というと、安い(テスラの収益率が高い)、目新しいってことでしょうか?

でも目新しい(誰もやってなかった)のは安全面に懸念があったからなんですが。

 

装着されていたタイヤは255/35R21のピレリでしたが、摩耗して交換することを考えると1本5万です。おまけに車重が重いので摩耗には確実に不利です。

ジジイのエアクロスは35000km走行してまだスリップラインまでは余裕があり、楽勝で4万kmは走れそうですが、モデルYではそうはいかないのではないでしょうか?

(EVは摩耗が早いということに対し、全面否定しているモータージャーナリストがいますが、物理的に不利なものはどうやっても覆りません。)

 

■まとめ

乗り心地が極悪なので、購入を考えている方はやめたほうがいいと思います。

どうしてもというのであれば、マイナーチェンジを待つべきかと。

(モデル3がマイナーチェンジで改善されたといううわさがあります)

それとタイヤは選べるのであればもう少し小さいものを選びましょう。

 

EVのメリットとして、燃料給油のためにわざわざガソリンスタンドへ行く必要がない、定期的なオイル交換が必要ないというのは非常に魅力的です。

 

反面、大型・高性能車ほど充電に時間がかかり、結果、長距離旅行には大きな制約がある、バッテリーのデグラデーション(劣化)が車種によってばらつきがあるものの確実にあり、リセールは期待できないという点。

イギリスでは4年落ちのポルシェタイカンの中古車販売価格が新車価格の1/3だそうです。日本ではそれほど落ちていないので、UKで買って日本で売れば儲かるかも?

 

14分あたりです。

 

とりあえず「エコでSDGsな私」や(すでにブーム去ってますが)「時流に乗ってる最先端な私」を演出したいとか、維持費を安く済ませたいとかでなければ、乗る価値を見出せません。

ただし、街乗り限定で長距離を走らず、常に家充電だけで運用できるのであれば、良いんじゃないかと思います。

その場合のおすすめは、テスラではなく日産サクラか三菱の姉妹車ですけど。