≪この記事は gooブログ内『長岡京エイリアン』にて2012年11月6日に投稿したものの再掲です≫

 どもども、こんにちは~いっと。そうだいでございます。
 

 雨、雨、雨……今日の千葉は朝からの大雨ですね(当時)。こういう日にかぎって、遠くに出かけるお仕事があるのよねぇ~! へいへい、ありがたくがんばらせていただきますよ~だ。


 さてさて、先月から生活がかんなりバタバタしてきだしまして、せっかく買っておいた本やら DVDやらも消化がけっこう遅れるようになってきております。うれしいことに、最近読んだり観たりしているものは大いに感ずるところのある作品ばかりなので、できれば1作1作ちゃんとレビューしたいくらいなんですが、にんともかんとも時間がねぇということで。無念なれどもいたしかたなしィ。
 そんな中でも今回は、先月にお店で「あっ、安い!」と思ってパパッと購入してしまった、この映画についてのあれこれをつぶやいてみたいと思います。
 

 いやはやこれはですね、いやしくも過去の記事にて「金田一耕助シリーズ」の原作小説リストとか映像化作品リストといったものをいじくっている私ならば、ちょっと避けては通ることができない作品なんですなぁ!

 そんじゃま、いつもどおりの流れで基本情報のあれこれを~。


映画『八つ墓村』(1977年10月公開 松竹 151分)
おもなスタッフ(年齢は映画初公開当時のもの)

 監督 …… 野村 芳太郎(58歳 2005年没)
 脚本 …… 橋本 忍(59歳 2018年没)
 撮影 …… 川又 昴(たかし 51歳 2019年没)

 音楽 …… 芥川 也寸志(52歳 1989年没)

おもなキャスティング(年齢は映画初公開当時のもの)
 寺田辰弥               …… 萩原 健一(27歳 2019年没)
 森美也子               …… 小川 真由美(37歳 2026年没……)
 多治見春代              …… 山本 陽子(35歳 2024年没)
 多治見小竹              …… 市原 悦子(41歳 2019年没)
 多治見久弥・要蔵(2役)       …… 山崎 努(40歳)
 久野恒三郎医師(原作の恒実)     …… 藤岡 琢也(47歳 2006年没)
 工藤校長(原作の慶勝院梅幸尼にあたる)…… 下條 正巳(62歳 2004年没)
 美也子の義父・森荘吉(原作の野村荘吉)…… 浜村 純(71歳 1995年没)
 井川勘治(原作の兼吉)        …… 井川 比佐志(40歳)
 濃茶の尼・妙蓮            …… 任田 順好(とうだ じゅんこう ?歳)
 村人・片岡吉蔵            …… 山谷 初男(43歳 2019年没)
 16代目・金田一耕助          …… 渥美 清(49歳 1996年没)
 9代目・磯川常次郎警部        …… 花沢 徳衛(66歳 2001年没)
 磯川警部の部下・矢島刑事       …… 綿引 勝彦(31歳 2020年没)
 村の交番の新井巡査          …… 下條 アトム(30歳 2025年没)
 諏訪啓弁護士             …… 大滝 秀治(52歳 2012年没)
 井川丑松               …… 加藤 嘉(64歳 1988年没)
 井川鶴子               …… 中野 良子(27歳)
 武将・尼子義孝            …… 夏八木 勲(37歳 2013年没)

 ※日本ミステリー界の巨星・横溝正史による金田一耕助ものの第4長編『八つ墓村』(1949年3月~51年1月連載)の4度目の映像化作品。
 ※本作は、金田一耕助が登場する映画の中では歴代最高の「配給収入19億9千万円」を記録している。「配給収入」とは1970年代の日本のマスコミで映画の売り上げを報道するときに主に使用されていた金額の基準であり、現在メディアでよく使われている「興行収入」のうちの「映画会社の取り分60% ほど」ということになるので、『八つ墓村』の興行収入はだいたい「32億円」ということになる。
 ※本作における「監督・野村&脚本・橋本&音楽・也寸志」という松竹黄金トリオは、『ゼロの焦点』(1961年3月公開 原作・松本清張)から組まれていたが、現在では『八つ墓村』の前作にあたる『砂の器』(1974年10月公開 原作・松本清張)が特に有名である。
 ※監督・野村と音楽・也寸志のタッグはそれ以降も松本清張作品で組まれていたが、橋本の脚本参加はこの『八つ墓村』が最後となった。
 ※時代設定が原作の「1948年」ではなく「1977年現代(当時)」に修正されている。
 ※原作小説での重要登場人物である「里村兄妹」「麻呂尾寺・蓮光寺・慶勝院の僧たち」「新居医師」らが本作ではカットされている。
 ※原作では八つ墓村の有力者一族は「田治見」なのだが、本作ではなぜか「多治見」表記になっている。
 ※『八つ墓村』は2012年11月時点では最新作となる2004年10月放送の TVスペシャルドラマ版(主演・稲垣吾郎)まで「9回」映像化されており、この回数は金田一耕助ものの映像化された原作の中でも最多となる(次に多いのは映像化「8回」の『犬神家の一族』)。
 ※当時、同じ時期に公開されていた市川崑監督による東宝の「石坂金田一シリーズ」では、2ヶ月前の1977年8月に第3作『獄門島』が公開されており、TV ドラマでも1977年4~10月に「古谷金田一」による連続ドラマシリーズ(第1シーズン)が放送されているという盛況ぶりだった。
 ※公式資料によると、原作で「八つ墓村」事件の捜査にあたった時点(1948年5月)での金田一耕助の年齢は「35歳」だった。
 ※映画にはその他、田中邦衛、吉岡秀隆(子役)、島田陽子、風間杜夫らがチョイ役で出演している。


 いや~、出ましたね、山崎努の『八つ墓村』、「たたりじゃ~っ!」の『八つ墓村』、被害者1人1人の死にざまがいちいちハデで気持ち悪い『八つ墓村』が!!

 この『八つ墓村』という大長編小説は、数多くいならぶ横溝正史の傑作群の中でも最多の回数で映像化されている超メジャータイトルであり、そのいっぽうで、あまりにも質・量ともに「頭からしっぽの先まで」内容のぎっちり詰まったミステリー作品であるがゆえに、原作に忠実な映像化がそうとう難しいものとしても有名です。
 要するに、これまでに映像化された9作品のすべてが、それぞれの個性を持って原作小説とはビミョ~に距離のある仕上がりになっているのです。

 もしも、これまでに『八つ墓村』を1度も観たことがない、もしくは1~2作くらいしか観たことがないという方がいらっしゃるのだとしたら、私としてはこう言わせていただきたいです。


「人生は長い。『八つ墓村』は原作と9つの映像化作品しかない。コンプリートしたっていいじゃないか!!」


 ほんとよ。なにはなくとも、「ミステリー」としても「冒険小説」としても「伝奇小説」としても完成された大傑作である原作『八つ墓村』を堪能していただくのは大前提だとして、それを読んだうえで、自分の脳内に構築された「おらが八つ墓村」と各映像化作品での八つ墓村とを比較してみて、その意外な情景・展開の違いに驚くという素晴らしい楽しみ方ができるわけなのです。
 これはやっぱり、何度も映像化されている作品であるからこその愉悦ですね……しかも昨今は、だいたいの金田一作品が映像ソフト化されている幸せな状況ですので、入手できるうちに「あぁ~、そうそう、こういう話だったわ!」とか、「これが伝説となったバージョンか……」とか味わいつくさない手はないんじゃないでしょうか。迷ってるヒマはありませんよ!?

 個人的な意見を言わせていただきますと、これは前にも触れたかと思うのですが、原作に最も忠実な映像化作品は、私が生まれて初めて『八つ墓村』に出会うこととなった1991年7月放送の古谷一行による TVスペシャル版の『八つ墓村』なんじゃなかろうかと思います。登場人物も里村兄妹以外はだいたい出そろっていたし、「寺田辰弥の実の父」のエピソードとかをちゃんと扱っていたのが良かったですね。あれ、当時の私、小学生!? これもちゃんと観直さないとなぁ。夏木マリ、こわいよ~。


 とまぁ、そんな中での1977年映画版の『八つ墓村』であります。

 これはもうなんと言っても、「山崎努の演じた『多治見32人殺し』シーンがとんでもなく怖い!」というビジュアルイメージが一人歩きしまくっている作品ということがまず最初にきますし、『八つ墓村』にかぎらず、あまたある金田一耕助もの映画の中でも最大級のヒットを記録したタイトルということでも知られています。
 

 「金田一耕助の出てくる映画」とくると、おそらくほとんどの方が思い出すのは、市川崑監督による角川映画→東宝の「石坂金田一シリーズ」ということになるでしょうし、まずはそっちのシリーズの第1作で、この『八つ墓村』の丸1年前に公開された大ヒット作品『犬神家の一族』(1976年10月公開)が頭に浮かぶかとは思います。実際に、今回私が購入した DVDの特典映像としておさめられていた予告編の中には、インタビュアーが街の人々に「金田一耕助といえば?」と聞いて、「石坂浩二でしょ!」「えぇ~、渥美清がやるの?」という反応を受けるというひとこまもありました。
 でも、『犬神家の一族』の配給収入は「13億円」だったので、結局いちばんの大成功をかっさらっていったのは、シリーズ化されることもなかったこの「渥美金田一」による『八つ墓村』だったんですね。

 ところで、上の基本情報で私は、1977年映画版『八つ墓村』の興行収入はおよそ32億円ではと計算したのですが、当時の映画チケットは一般で「1200円」ということだったそうなので、金額に対する動員数は現在(1800円)のだいたい「1.5倍」ということになります。そう考えれば、32億円×1.5=48億円。つまり、現在の感覚で言うと、劇場版のポケモンシリーズや『ドラえもん』シリーズくらいの大ヒットだったという規模になるようです。ピカチュウとドラえもんと多治見要蔵が同格!?
 

 でも、実写邦画の興行収入第1位が『踊る大捜査線 THE MOVIE2』で173億円、邦画第1位が『千と千尋の神隠し』で304億円(2012年時点)だってんですから……もう、むちゃくちゃでござりまする~。

 ところがこの1977年の『八つ墓村』は、他のヴァージョンと比較してももっとも「金田一・横溝テイストの希薄な作品」だと言い切ってもおかしくはない大幅なアレンジが加えられているのです。いや、完全に別作品になっているとまではいかないんですけど、「え! そこ広げるの!?」という脱線のぐあいがトンデモないと言いますか、話の大筋は同じなのに、映画のジャンルが思いっきり変わっちゃってるんですよね……ミステリーじゃなくて、丸っきりの「ホラー映画」になっちゃってんの!

 金田一・横溝テイストが薄まっているのならば、そのぶん何が作品の主成分になっているのかといいますと、これはやはり「野村・橋本・也寸志トリオ」による松竹大作映画テイストなんじゃないでしょうか。しかも、どこに大作の比重を置いているのかといえば、原作ではそれほど中心に入ってこなかったはずの「戦国時代の尼子家の落ち武者のたたり!」という部分だったのですからさぁ大変。

 1977年版の『八つ墓村』は、その「たたりじゃ~!」のイメージを頭に置いて観始めるとちょっと肩透かしをくらってしまうほどに、いくつかの決めどころでの「也寸志オーケストラの入った超ハイテンションシーン」をのぞけば、いたって物静かな画面が淡々と続いていく作品になっています。その点からしてまず、きわめてアクの強い登場人物が連続して顔を出してくる横溝正史ワールドとはちょっと違う空気感があり、それこそ、松竹大作映画の『砂の器』を思わせるような松本清張的社会派ミステリー演出を押し出しているような印象もあります。だいたい、中盤であんなにものすごい感じになる山崎努さんでさえ、序盤は病弱な設定の別の役で登場しているので、全体的におかしいくらいのテンションの低さになっているわけなのです。そういえば、このヴァージョンの『八つ墓村』での「不気味な双子の老婆」も、それほど不気味ではなく単に陰険なバアちゃん2人組になっていますね。

 ただし、この『八つ墓村』に淡々としたまま静かな社会派ミステリー映画として終わっていくつもりが毛頭ないことがわかる伏線はのっけから提示されており、なにはなくともタイトルロール前、物語は現代ではなく戦国時代! 1566年の中国地方の山奥を命からがら落ちのびる尼子家の武将一行というところから始まっていくのです。え、金田一耕助の出てくる映画じゃないの、これ!?


 ……と、ですね。ここまでつづってきて思ったのですが、この1977年版の『八つ墓村』は、監督と脚本と音楽、特に完成された本編の中でのインパクトの割合を考えれば、音楽をうまく利用した「なにか大変なことが起こるような予感のある静けさ」と「ほんとに大変なことになっちゃった!」の2パターンの相互作用で2時間半という長丁場をのりきっている作品だといえるのではないのでしょうか。ほんとにそれだけ! 他の映画とかでは、あとは「テーマの重さ」とか「泣ける感動の展開」とかが必要になってくるかもしれないのですが、そのへんはこの作品は完全にかなぐり捨てているいさぎよさがあります。もしかしたら、「テーマとか感動とかは『砂の器』でやりきったしな……」という思いが製作陣にはあったのかも?
 最初っから最後まで、ドキドキワクワクしかない! 全施設、木造築200年の建物だらけの遊園地みたいなものですね。さぁ、キミは帰って来られるかな!?

 ということなので、少々長くなってしまうのですが、やっぱりここは、この記事を読んでいるみなさとご一緒に『八つ墓村』を観るということができない以上、我がブログ恒例の流れで、


「ドキッ☆ 1977年の『八つ墓村』 たたりだらけの本編タイムスケジュール」


 をまとめてみるのがいちばんわかりやすいかと思われます。

 この作品は「本編時間151分」というてんこ盛りなボリュームになっているわけなのですが、これは、これまで世に出てきた金田一耕助もの横溝小説の映像化作品の中でも、ぶっ通しで観る1本の作品の中でいえば「歴代最長」となっています。やたら大作な印象のある市川崑の「石坂金田一シリーズ」でも、この2時間半をこえるものはなかったんですね。ただしその例外として、1949年に「前後篇2部作」というかたちで公開された映画『獄門島(ごくもんじま)』(監督・松田定次、主演・片岡千恵蔵)はトータルで169分。1977~78年に2シーズン放送されて TVの世界から当時の横溝ブームを牽引することとなった古谷金田一による『横溝正史シリーズⅠ、Ⅱ』は1回1時間分の連続ドラマだったため、こっちのバージョンの『八つ墓村』も含めて、全回分あわせれば3時間をゆうにこえる長編作品が7作あります。最長は『悪魔の手毬唄』(1977年)の「284分(4時間44分)」!! そりゃあ DVDも2巻組になるわ!


 余談ですが、1978年に放送された古谷金田一のほうの『八つ墓村』は「犯人の設定」が原作から大幅にアレンジされているため、こっちもこっちで原作からは距離を置いた映像化作品になっています。

 ま、とにかく2時間半という長さの1977年の『八つ墓村』であるわけなんですが、これがまぁ、観れば観るほど興味深いタイムスケジュールになっとるんですわ!

 はいっ、そんな感じで、なつかしい昭和の風景をとらえた紀行番組みたいな空気感から、なんの遠慮もなく一瞬にしてテンションMAX のホラー映画へとカットインしてしまう、「ふつうのおそばと真っ赤なハバネロ練りこみ麺とが、か~りぺったか~りぺったでお椀にとびこんでくる」古今無双のムチャクチャわんこそば映画『八つ墓村』1977についてのあれこれの続きは、また次回のココロだ~。

 2012年、こんな殺伐とした現在だからこそ、みんなでもう一度、能天気に元気よくあの言葉を叫んでみようじゃありませんか。

たたりじゃ~っ☆
 

 

≪2026年からのふりかえり≫

 お読みいただきました通り、もともとこの記事は今から14年も前の2012年につづったものなのですが、今回再掲するにあたって1977年版『八つ墓村』の主要キャストのみなさまのご年齢を確認してみたら、物故された方が増えたのなんのって……まぁ、14年も経っちゃったら仕方もないことなんですけどね。

 そうかぁ、この記事を作ったころは、ショーケンも夏八木勲さんも、下條アトムさんもお元気だったんですよね。

 

 そして、言うまでもなく本年2026年は、『八つ墓村』の映像化作品としては通算11作目、映画作品としても4作目となる、あの『呪怨』シリーズの清水崇監督による『八つ墓村』最新エディションが、来たる9月下旬に公開されるとのこと! 令和初の、映画でたたりじゃ~っ!! ちなみに、令和初の『八つ墓村』は吉岡秀隆金田一バージョンの2019年 TVスペシャルドラマ版でございます。

 

 こういうこともあったので、実はこの記事ももうちょっと後の9月下旬にゆっくり再掲しようかとかまえていたのですが、非常に残念なことに、1977年版『八つ墓村』で森美也子役を演じられ、作品にとって絶対に欠かすことのできない圧倒的貢献を果たされた、女優の小川真由美さまが今年3月に遠行なされていたことが今月8月9日に公表されたということで、遅ればせながら緊急で再掲させていただくこととしました。

 

 小川さまも亡くなってしまわれるとは……作品は違いますが、今年2026年は美輪明宏さまに続いて小川さまと、お2方もの『黒蜥蜴』が星になってしまわれるという、痛恨の年になってしまいました。なんということじゃ……

 

 余談ですが、Wikipedia の小川さまの記事のお写真、モノクロだけどほんっっとに色っぽくてチャーミングなんですよね~(24歳のころ)♡ すばらしい俳優であり、女性。実際に近くにいたらそうとうに災害な感じ……まさに鬼子母神!! 合掌。

 

≪この記事は gooブログ内『長岡京エイリアン』にて2011年1月31日に投稿したものの再掲です≫

 どうもこんばんは! そうだいです。今日も寒かったですねぇ(当時)。
 

 なんと、2011年幕開けの1月もいよいよおしまいとなりました。みなさんにとっては、どんな月になったでしょうか?
 私はもう、長かったような短かったような……
 前半は劇団の公演が、後半はもっぱら仕事が中心になるという流れだったのですが、あいまにいろんなことを楽しんだりもしたし。私としては、充実した始まりの月になったんじゃないかと! ただ、いまだに今年がどんな年になりそうなのか予想がつかないというていたらく……フォーウ! ドッキドキだぜ~。

 今日はお休みだったので、のんびりとパソコンでいろんな世界をのぞき見しておりました。お金がないんで、映画にも行けない状態なんです、今!

 ボ~ンヤリと電脳散策を楽しんでいたんですが、ふと思い出したことがあったので、タレントで女優の佐藤江梨子さんのブログを読んでみることにしました(2026年現在は閲覧不可能)。

 

 私は現在、TVがないのでもっぱらNHKFMかTBSラジオのヘビーリスナーになっているのですが、おとといTBSラジオの番組で紹介されていた映画『その街のこども』が、思いのほか面白いらしいんですね。その主演が佐藤さんなんです。

 この作品は、1995年のあの阪神大震災で被災した経験のある、2人の男女の現在をめぐる物語。『その街のこども』は、去年2010年の1月にNHKで放送されたスペシャルドラマを劇場版に再編集したものなのだそうです。

 佐藤さんといえば、私の中のイメージでは「ぽろろ~ん、おっぴょろろ~ん。」といった感じの発言(音声、内容ともにこんな印象)の目立つ奇特な方、というイメージが強かったので、好きではあるものの、なんとなく女優さんとして活躍されている作品は敬遠していたのですが(ただし2004年版『キューティーハニー』を除く!!)、『その街のこども』での佐藤さんと共演の森山未来の2人がつむぎだす空気が素晴らしいんだそうです。

 

 う~ん、観たい! 現在、私が観に行ける範囲では東京の池袋の映画館と、恵比寿の東京写真美術館で公開しているのだとか。


 なんといっても、佐藤江梨子と森山未来という、ティラミスとわらびもちみたいな意外すぎる取り合わせがいいですよね。何が起きるのか、どんな空気ができるのかがわからない。でもおもしろそう。

 佐藤さんは私にとってほぼ同年代だし、おなじAB型だし、周囲のみなさんが当惑するような発言の多いところも、なんとなく他人の気がしない存在だったので、ちょっと彼女のブログをのぞいてみたんですが……
 

 ブログの内容にちょっと驚いてしまったんですね、私。

 内容は、いつものようにていねいな文体でつづられていたのですが、明らかに佐藤さんに大きな影響を与えたどなたかが亡くなられた、というものでした。しかも、かなり突然に。
 

 よくよく読んでみると、亡くなられたのは、佐藤さんが主演した映画の監督をされていた方のようで。

 その映画は、2008年に公開された『秋深き』。監督は、池田敏春という方でした。
 えっ、池田敏春!? 私、つい最近にこの人のこと調べたよ! まだ作品は1本も観たことがないんだけど……

 私はつい最近まで「池田敏春」という名前を、1990年代後半に大爆発することになった日本ホラー映画ブームの元祖中の元祖といわれるスプラッタ・ホラー『死霊の罠』(1988年 主演・小野みゆき)の監督としてだけ認知していました。
 

 しかし、去年の暮れに観た映画『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』をきっかけに、伝説の劇画家・石井隆のライフワークとなる「村木と名美」サーガをちょこっと調べてみたところ、池田監督もまた、その物語に深く関わっていたいうことを遅まきながら知ることになったのです。
 

 「村木と名美」とは、石井隆の描く劇画に登場する男女のキャラクターによくつけられる名前で、必ずしもすべての作品の「村木」と「名美」が同じ人物なのではないのだそうです。
 まぁとにかく業の深い関係のようで、2人はさまざまな作品で時には愛し合ったり、時には殺し合ったり……永遠にわかりあうことのできない部分を持ち続ける男女を象徴する存在なのだとか。


 そこで、石井作品やそれをもとにした物語を池田監督も何作か手がけていたということだったので(『死霊の罠』もそう)、DVDが観られるようになったあかつきには、さっそく観てみようと思っていたのですが……

 そうか。亡くなったんだ。


 しかも、どうもみずから死を選ばれたのだそうで。59歳だったそうです(昨年2010年12月26日に発見、今年1月28日に身元確定)。池田監督のことは一切知らないので無責任なことしか言えないのですが、なんで死んじゃうのかなぁ。
 佐藤さんの文章からもお人柄は伺えるのですが、プロフィール写真の顔がまた、いい人そうなんだよなぁ。とろ~んとしたタレ目に温かみがあって、赤ら顔で。


 「どっかで観たことのある顔だなぁ」と思って調べてみたら、池田監督って、私と同郷なのね! あぁ~、あるある、地元で農家やってる人にこういうお顔。

なんか、しんみりしちゃいましたね……
 

 ウィキペディアの池田監督の記事の最後の行に、たった1ヶ月前までにはなかった死亡記事が追加されている。


 ついでに、2006年に彼が監督した『ハサミ男』に関した公開記念インタビュー記事(eonet「eo映画」より)を読んでみたら、その作品の中に「自殺」をあつかうシーンがあったことについてのやりとりがありました。


Q.主人公がありとあらゆる手で自殺しようとするシーンは笑えますね。

池田監督「う~ん、こんな時代だから。わりかし薄めにはしたけど、どこまでやって良いのかというのが。怖いのが真似しようとする人。『人魚伝説』や『死霊の罠』を発表した時(1980年代)はお客が大人だったので映画の中の出来事として観てくれたんだけど、今のお客はちょっと怖い」


 ……
 このインタヴューから5年もたっていないんですけどね。
 

 哀しいなぁ。監督の遺作となってしまった『秋深き』に主演した佐藤さんもそうなのでしょうけれど、おそらく周囲の方々は、監督の力になれなかったことを深く悔やんでいるのではないでしょうか。


 自殺っていうのは、人と人とのつながりをいちばん残酷なやり方で断ち切ってしまう仕打ちだと思います。残された側には後悔しか残されません。ひどいですよ、この一方的すぎる断絶は! その人のことを強く想っている人ほど、悲しみは深いものになっちゃうんですから。
 ダメ、ゼッタイ!! ホントにダメよ。


 人と人とのつながりは、ホントに大事だ。
 世界は広い! 一人だけで生きていくには、世界はあまりにも広すぎて過酷。

 幸運にも、池田監督関連の記事を読んだ直後に、まったく関係ないながらも「人と人とのつながりの大切さ」と「世界の広さ」を痛感するやりとりをネットで垣間見ることができたので、最後にそのいくつかをここに紹介させていただくことにします。


コスプレイヤーズ・ソーシャルネットワーク内 「コスプレ知恵袋」より

 
質問1 マンガ『銀魂』の登場人物「猿飛あやめ」のコスプレをするにあたり、納豆の小道具を作ろうと思っています。
 近々、猿飛あやめ(通称さっちゃん)のコスプレをする事になりました。
 「さっちゃん=納豆」の印象が強いので、手裏剣・クナイの小道具の他に納豆の小道具を取り入れようと思っています。
 しかし本物の納豆は臭いので皆様のご迷惑になり持って行けません。
 以前、さっちゃんのコスをしている方のお写真を拝見したところ、その方は納豆の小道具を作っているようでした。(その方に限らず、何人もの方が納豆の小道具を作っていました。)
 上手く説明できませんが、納豆のネバネバの糸のところが透明の糸で再現されていました。そしてその透明の糸に、豆のような丸い形のを何個もくっつけていました。
 「これだ!」と思い、作ろうと思っているのですが、お写真を見るだけではわかりませんでした……
 ですので、「納豆の小道具を作ったことがある!」又は、「作り方を知っている!」という方がおられましたら是非教えていただきたいです。
 長々とまとまっていない文章で大変わかりにくいかと思いますが、回答いただけたらさいわいです。宜しくお願いします。

 
ベストアンサーに選ばれた回答
 回答失礼します。
 私がさっちゃんの納豆を製作した時に使用した主な材料は、紙粘土とテグスと納豆の空容器です。
 紙粘土に絵の具で着色し、マニキュアのトップコートを塗る。
 そしてゴム製のテグス(手芸屋で売ってます)にとおし、空容器に入れましたよ。
 納豆製作頑張って下さいm(_ _)m 

質問者からのコメント
 回答ありがとうございました!
 早速、紙粘土、テグスを買ってきたので作ってみようと思います。


質問2 『銀魂』に登場するゴニンジャーのニンジャーイエローの「桂小太郎」のコスプレをするのですが、小道具としてのカレーの作り方を教えてください…… 
 食品サンプル通販などでもしっくりくるカレーライスが見つからず、見つけたとしても高額で手がつけられません。
 なので手作りで作ってみたいのですが、材料の作り方がわかりません。
 自宅で出来る範囲、手短な材料で作ったことのある方、または知っている方いらっしゃいましたら宜しくお願いいたします。

 
ベストアンサーに選ばれた回答
 回答失礼致します。
 ゴニンジャーの「神楽」コスをしたことがありますが、その時は紙ねんどなどで作成しました。
 ライス:良く揉んでからお皿に紙ねんどをちょうど良い形に盛り付けます。紙ねんどは袋から出したらすぐに乾燥していきますので手早くやりましょう!
  具が欲しい場合は同様に紙ねんどで小さい四角形を作ってお皿に並べます。
  私は作成当時そこまで頭が回らなかったのですが、ご飯のつぶつぶ感を出すために表面を歯ブラシやスポンジで叩いたりこすったりすると良いそうです。
 カレー:木工用ボンドに茶色の水彩絵の具を良く混ぜてルウを作ります。ご飯にかけて十分乾かします。乾くとボンドが透明になり、ツヤが出てそれっぽく見えます^^
 材料は全て簡単に手に入りますので、参考にして頂ければ幸いです。
 桂コス頑張って下さいませ!^^
 乱文失礼致しました。


質問者からのコメント
 回答ありがとうございました!!
 おかげさまで無事作成することができました。
 時間と材料の手間ひまがあまりかけられなかったので、ルウの部分は紙粘土になってしまいました。
 リベンジするときは回答を参考させてもらいます。
 ありがとうございました!


 おらぁもう、涙がでちゃったよ。


 見よ、この人と人とのつながりの美しさを!
 世界は広い。世の中には、納豆やカレーライスの形をした物体の作り方で悩んだり、それをやさしくアドバイスしてくれる人たちがいるんだなぁ。
 勝手に感動してしまいました。


 人間って、ほんとにおもしろいねぇ。明日から私もがんばろーうっと。

 

 

≪2026年からのふりかえり≫

 以上のように、ほんとうに何の変哲もないつれづれ駄文なのですが、このだいたい1ヶ月半後の2011年3月11日に起きたことを考えると、この記事で私が気になっていた作品が『その街のこども』であるというところに、何とも言えない恐ろしさを感じてしまいます……

 いや、普通のなんでもない日記も、後になって読み返してみると不思議な味わいを持ってくるもんなんですね。

 

≪この記事は gooブログ内『長岡京エイリアン』にて2011年1月30日に投稿したものの再掲です≫

前回までのあらすじ~
 第5使徒ラミエル以来、1ヶ月ぶりに日本に上陸した新たなる刺客・第7使徒イスラフェル。なんとヤツは、「分体」するという大技を持っていた。ビックリ!


 エヴァンゲリオン2号機のソニック・ブレードによって真っ二つにされたイスラフェルは、短時間のうちにオレンジとグレーの2体に増えて再生してしまいました。
 

 仕方なく初号機と2号機はバラバラになって使徒と戦う流れになったのですが、なんとイスラフェルには、さらに恐るべき性質が!
 その名も、「二身一体バックアップ再生機能」! なんかデジタル。

 この性質の具体的なズルッコさは、初戦での分体後の経過が丸ごとカットされてしまったアニメ版ではわかりづらいのですが、貞本義行によるマンガ版(コミックス第4巻)で詳細に描写されています。


 たとえば、2号機がイスラフェルの片方をもう一回ソニック・グレイブで斬り裂いたとしても、すぐに斬った部分がつながって再生してしまい、「使徒の弱点」であるはずのコア(核)をかち割っても、それもまたすぐに復元してしまうのです!
 

 「人間型」の使徒に共通している特徴なのか、サキエルとシャムシエル同様、イスラフェルもおなかのど真ん中に弱点であるはずのコアを誇らしげにつけています。弱点でてる! でてるよ!
 しかし、今回の場合はちと勝手がちがうんです。いくらコアを集中攻撃しても、イスラフェルは平気のへいざ! ピンピンして応戦してきます。な、なぜ?

 

甲「はいっ! 説明いたしますと、わたくしどもの身体は2体に分裂していながら、身体の情報をおたがいに共有しているのでございますっ」
乙「したがいまして、それが弱点であるコアだったとしても、ダメージを受けた瞬間に、もう片方の無傷なバックアップ情報を受信して再生させてしまうというスグレものなのでございますよっ」


 なんということだ……ということは、さしものエヴァンゲリオンが2体で闘っても、その攻撃法がバラバラになっている限り、イスラフェルには傷ひとつつけることができないということなのか!? ネルフ、ピンチ!

 結局、ネルフはそんなイスラフェルの秘密を解明することができず、戦闘開始後30分もたたない午前11時。2体のイスラフェルによって初号機と2号機が駿河湾からはるか遠くの地点に投げ飛ばされて機能停止におちいってしまい、ネルフは作戦指揮権を国連軍にゆずって撤退してしまいます。


「おっしゃあ、俺たちの出番がまわってきたぞ! 今度こそ、やったんでぇ!」


 と言ったか言わずか、第3使徒サキエル戦以来およそ2ヶ月ぶりに作戦のメインをしきる国連軍。間髪入れずに最新兵器「N2航空爆雷」の投下を決行します。

 N2航空爆雷とは? これは、サキエル戦で山ひとつ吹き飛ばす勢いで炸裂し、あのサキエルを半日動けない状態にしたという国連軍の最終兵器「N2地雷」を、上空から大型戦闘機で地上に投下できる形に改造した最新兵器である。国連軍の持っている兵器の中で使徒に通用するものは、たぶんこれだけ!!

ズズ、ズドドォ~ン……

 盛大なキノコ雲をあげるN2航空爆雷。数分後、爆心地には炭のように真っ黒焦げになった2体のイスラフェルが。



甲「ゲホッゲホッ……な、なかなかの火加減でございましたわね」
乙「今日のところはヤケドの治療に専念することにいたしますが……今に見ておれでございますよっ」


 N2兵器は、今回も使徒に通用した! またしても殲滅することはかなわなかったのですが、ネルフの分析によるとイスラフェルは全身の約28%を損傷、回復して動き出すまでには6日間かかるだろうという予測が報告されました。
 やったぜ国連軍。前回のサキエルは半日だったのに、今回は6日間の足止めに成功だ! まぁ、代償として駿河湾がなくなっちゃったけど……


 サキエルにくらべてイスラフェルの回復速度が遅すぎるという点が気にかかるのですが、それはまぁ、N2航空爆雷がN2地雷にくらべて格段に強力なものになっていたからなのかもしれないし、2体に分裂したことでイスラフェルの回復能力が多少おちていたからなのかもしれない。
 いずれにしろ、イスラフェルは先ほどにあげた特異な再生能力を持っているわけなので、回復速度の差をもって「サキエルよりもイスラフェルの方が弱い」と判断してはいけないと思います。

 さて、イスラフェルの再侵攻までに6日の猶予ができたネルフ側。しかし、イスラフェルに投げ飛ばされて機能停止になった初号機と2号機も、修理完了までに6日かかるというギリギリスケジュール。


 ならば、他にこの貴重な6日間を使ってネルフにできることは?
 

 むろん、回復したイスラフェルは当然のように第3新東京市に侵攻してくるでしょうから、急ピッチでラミエルのご遺体をかたづけて市街地の迎撃体制を復旧させる必要があります。
 

 そしてもう一つ。映像などによる解析によってイスラフェルの「二身一体バックアップ再生機能」を理解したネルフ作戦本部は、2体に分裂したイスラフェルに対しては、2体のエヴァンゲリオンによるまったく同じタイミングで同じ部位を攻撃する共同作戦が有効であり、最終的には2つのコアに同時に致命的なダメージを与える「二点同時荷重攻撃」しか通用しないという結論に達します。

 そこで採用されたのが! 「62秒の楽曲にあわせて2体のエヴァンゲリオンが寸分たがわない振り付けで踊りながらイスラフェルを殲滅する」という作戦。正気か!?


 うーん……しかし、パイロットが1週間前に会ったばかりの、しかも性格の合いそうにない2人である以上、手っとり早く同じ振り付けをおぼえるという作戦がいちばんマシなのではあるのでしょうが。
 人類の命運が、華麗にステップを合わせながら舞い踊る2体の身長40メートルの巨人にかかっているとは! 頭がクラックラするようなステキな展開です。

 そんな流れから生まれるのが、「明るいロボットヒーローアニメ(ロボットじゃないけど)」の大傑作として記憶されるべき中期『新世紀エヴァンゲリオン』を象徴する名場面、初号機パイロットとドイツ娘の汗ひかるダンスレッスンなんですなぁ!


 今現在、『エヴァンゲリヲン新劇場版』3部作のうち『序』と『破』が公開されている時点では、TVアニメ版でのドイツ娘こと「惣流 アスカ=ラングレー」が大活躍するこのエヴァンゲリオン中期の明るくむちゃくちゃなノリは、なんとなく「なかったこと」にされているような気がします。具体的には、TV版の第6~11使徒戦あたりがその中期にあたるんでしょうが、私はそれが哀しくてしょうがありません!
 

 もちろん『新劇場版』はおもしろいです。はっきり言って作品のクオリティは全ての面においてTV版とは比較にならないほどアップしているし、謎のばらまきがとっちらかり過ぎて収拾がつかなくなった(ように見えた)TV版に対して、見間違えるほどスマートな展開になった新劇場版は格段に観やすくなっています。

 でもさぁ、1990年代のフワフワした熱っぽさをそのまんま作品に投影している中期の雰囲気もいいんだよなぁ。あのまま、ドイツ娘が元気なままで進んでいたら、いったいどんな物語になっていたのだろうと時々夢想してしまいます。
 『新劇場版』で、どこからどう見ても惣流さんな彼女が「式波大尉」になっていたのは、まことに慧眼だと思います。別人だものねぇ、あの2人。惣流さんはあんなにオトナじゃないからねぇ!

 初号機パイロットとドイツ娘の涙ぐましい努力の日々は、ぜひともアニメでご覧いただきたいと思います。様々な表情を見せる TV版の中でも、とびっきりハイで楽しい一面を目の当たりにすることができるはずです。


 ちなみ、のちに中期エピソードのほとんどをカットしてしまうという哀しい展開におよんでしまった貞本義行のマンガ版『新世紀エヴァンゲリオン』も、この「対イスラフェル戦」だけはアニメ版以上に力を入れて描写しており、特にこのダンスレッスンのくだりは、その並はずれた画力もあいまって、さまざまなレギュラーキャラが表情豊かに生き生きと活躍する素晴らしい物語になっています。マンガ版は、とにかく初号機パイロットの中学生男子が人が違ったようにしっかりした「自分」のある子になってるから、初号機パイロットとドイツ娘がしだいにその精神的距離を近づけていくあたりはもう感動的でねぇ……はずすことができない名場面ですね。

 さて! 無惨な敗戦を喫してしまってから6日後。ネルフの予測通りに回復したイスラフェルは侵攻を再開し、やはり予測通りに芦ノ湖の南を東に回ってから強羅温泉を通って北上し、第3新東京市にその姿をあらわします。

 イスラフェルが市街地に侵入したタイミングを見はからって、ネルフ本部から射出口をつうじて文字通り地上へとおどり出る初号機と2号機。前回は敗れた2体でしたが、今回は気合いの入り方がちがっていた!


「62秒で決着をつける!」


 曲に合わせて見事に息のあったアクションを展開する2体のエヴァンゲリオン。
 第3新東京市の迎撃体制もある程度は復活したようで、ミサイル攻撃や装甲シールドなどで2体を援護します。

 

甲「あらっ、見間違えるような的確な攻撃! やりますわね……」
乙「これはいけません。わたくしたちも本気を出さなければならないようですわ!」


 対するイスラフェルも、目(らしい部分)からのビーム、手の先の鋭利なツメ、ちょっとだけ空を飛ぶなどの手段を駆使して反撃します。
 どことなくサキエルに似た攻撃をくり出してくるイスラフェルなのですが、やはりサキエル同様、N2兵器によるダメージからの回復後に攻撃力などの面で進化しているような様子がうかがえます。

 しかし、完璧な一心同体攻撃を続ける初号機と2号機にはついに勝てなかった。
 たまらず、甲乙の2体が合体して1体にもどってしまうイスラフェル。


「今だっ。てやぁーっ!!」


 一瞬のスキをついて中空に跳び上がる初号機と2号機!

「ダブル・エヴァンゲリオン・キーィッック!!」
ドゴぉ~ン!!
 

 きまった! イスラフェルのコアに同時にヒットする2体のキック。あまりの勢いに、イスラフェルは蹴られたまま市街地から近隣の山まで吹き飛ばされてしまいます。どんだけ~!?

 

「ぐバハぁア~ッ!! や、やられましたわ……ムラサキと赤のおふたり、これからも、そのコンビネーションを忘れず、お・し・あ・わ・せ・に……」

 


コアにヒビがはいった! ドッカ~ン。
 

 こうして、第7使徒イスラフェルは山ひとつを消すほどの大爆発とともに華々しく散ったのでした。ネルフ本部近くにまでは行けたのになぁ~。でも、グッジョブ!

 グッジョブと言うのならば、蹴りながらイスラフェルを、市街地に爆発の影響のない山あいまでもっていったエヴァンゲリオンパイロット両名もグッジョブです。
 

 というか、登場人物たちのセリフによると、どうやらイスラフェルが姿をあらわした翌日にその対策法を考案して、それにぴったりの楽曲と振り付けを用意したらしいネルフ本部がいちばんグッジョブですよ! だって、イスラフェルがビームをはなったりちょっと空を飛ぶかもってとこまで予測できてたってことでしょ? これは使徒側にとっては恐るべき脅威ですよ。


 ネルフ本部の頭脳ともいうべき、すべての作戦の案出とシミュレーションを一手に引き受けるスーパーコンピュータシステム「MAGI(マギ)」は、2010年に赤木ナオコ博士(物語に登場するリツコ博士の実母)が完成させたものなんですが……ナオコさん、天才すぎ。もしかしたら、あの楽曲を作曲したのも、MAGI? やりかねません。さすがは特務機関ネルフ。総司令の外見のあやしさはダテじゃありません。

 さきほどあげたように、マンガ版でも重要なエピソードとして取り上げられていた対イスラフェル戦だったのですが、残念ながら『新劇場版 破』ではみごとにカットされてしまっております……


 ま、惣流さんの登場しない『新劇場版』である以上、しかたのない処置なのでしょうが、要するに、TV版『新世紀エヴァンゲリオン』の中期は、惣流さんのあの性格とその成長がなくては成立し得ない物語になっていたんですなぁ。
 

 しみじみと、惣流さんと惣流さんのいた1990年代に想いをはせる「対イスラフェル戦」なのでした……いや、惣流さんがいたのは2015年だけどさ。


~ほんとに蛇足ながら~
 本来、「イスラフェル」はイスラム教で音楽をつかさどる天使の名前なので、アラブ語読みにしたがって「イスラフィール」と表記したいところだったのですが、一般的な呼称の通りとしました。使徒のみなさんの中で、ひとりだけちがう語感なのもかわいそうですし。
 でも興味深いことなんですが、キリスト教の天使もイスラム教の天使も、上司はいっしょなのね! ガブリエルがジブリールだったり。宗教はホントに深いわ。